鶏卵相場 9月は一定の需要増も 前年並みへの回復を期待
西日本を襲った7月豪雨、空舎延長事業の発動、その後の酷暑などで、西日本を中心に鶏卵生産量が減少した影響から、鶏卵相場は大幅な西高東低で推移。8月のMサイズ月間平均は東京172円、大阪195円、名古屋185円、福岡183円となった。9月は残暑は続くものの、コンビニのおでんや外食のキャンペーンなども始まるため、相場は一定程度上向く可能性が高いとみられている。
8月は成鶏更新・空舎延長事業の影響による一時的な成鶏羽数の減少や、豪雨・台風被害の影響が、特に西日本の流通量の減少につながり、西高東低の鶏卵相場となって、東日本から西日本への鶏卵供給も行なわれた。
ただ、採卵用ひなえ付け羽数は平成26年以降、継続して増加し、今年1~6月期も前年同期を3.6%上回るなど、鶏卵生産量の増加傾向は続いており、一時的な生産減の影響は長くは続かないとみられる。
一方、需要面では、今年のコンビニエンスストアのおでん販売は、ローソン(6月末で1万3298店舗)が8月7日から、セブンイレブン(7月末で2万437店舗)が8月9日から、ファミリーマート(ファミリーマート・サークルK・サンクスの合計約1万6900店舗)も8月28日から本格的に始めるほか、コンビニでは総菜や弁当、スイーツ需要も拡大している。
秋の定番となっている日本マクドナルドの月見バーガーキャンペーンも今年は『金の月見バーガー』が加わって8月29日から10月上旬まで実施される予定。
さらに新学期とともに学校給食が再開されることや、総務省家計調査では今年上半期の1人当たり鶏卵購入量が前年同期比4.3%増と好調を維持しているテーブルエッグも、涼しくなるにつれ、行楽需要とともに伸びが見込まれる。
こうした一定の需要の増加要因が、期待通りに生産増を吸収できれば、9月の相場は8月を大きく上回り、昨年(月間Mサイズ平均は東京194円、大阪199円、名古屋196円、福岡188円)に近い水準まで回復する可能性も期待される。
9月の鶏肉需給 生産・輸入減に 農畜産業振興機構
8月の鶏肉需給は、生産は比較的順調だったが、販売面は猛暑の影響で落ち込んでいる。
(独)農畜産業振興機構(ALIC)が8月24日にまとめた9月の鶏肉需給予測によると、生産量は前年同月比1.3%減の12万5800トン、輸入量は同2.5%減の5万4000トン、出回り量は同5.0%増の18万8300トンで、期末在庫は同9.0%減の14万7000トンの見込み。
他の畜産物では、豚肉の出回り量の増加が気になるが、鶏肉相場としては、8月を底に上向くことが期待される。