養鶏は4.7%減の8606億円 平成30年農業産出額

鶏卵4812億円、ブロイラー3608億円

農林水産省が1月15日に公表した平成30(2018)年の農業総産出額は、野菜や豚、鶏卵などの生産量は増加したが価格が低下したため、前年を2.4%下回る9兆558億円となった。鶏卵とブロイラー、採卵鶏の親めすを合計した養鶏の産出額は前年比4.7%減の8606億円(農業総産出額に占める構成比9.5%)。特に鶏卵は約9%減となり、5000億円を割り込んだ。

農業総産出額は近年、米、野菜、肉用牛などの需要に応じた生産拡大などを主な要因として増加傾向で推移し、平成27年以降は3年連続で増加してきたが、平成30年は野菜や豚、鶏卵などの価格低下から、前年に比べ2184億円減少した。

鶏卵の産出額は平成26年以降は5000億円を超えてきたが、近年のおう盛な鶏卵需要に対して生産者の増産意欲が高まり、平成29~30年は鶏卵生産量が過去最高を更新して需給が緩和し、鶏卵相場が前年を大きく下回って推移(平成30年のJA全農たまご・東京M相場は前年比27円安の180円)したため、前年比8.8%減の4812億円(同構成比5.3%)。

ブロイラーの産出額は、鶏肉・鶏肉調製品の輸入量が過去最高となる中、近年のおう盛な鶏肉需要を背景に、ブロイラーの国内生産量が過去最高を更新したが、平成30年の日経・東京相場はもも肉・むね肉合計で前年比65円安の877円となり、前年比0.8%増の3608億円(同構成比4.0%)となった。

肉用牛の産出額は、乳用牛への和牛受精卵移植の広がりや畜産クラスターなどの事業により和牛の飼養頭数が増加に転じ、価格も上昇したため、前年比4.2%増の7619億円(同構成比8.4%)。

乳用牛の産出額は、畜産クラスターなどの事業や性判別精液を活用した効率的な後継牛生産の推進により北海道で搾乳牛が増加し、前年並みの生乳生産量が確保されたことに加え、牛乳・乳製品の消費が堅調に推移して総合乳価が上昇したため、前年比1.7%増の9110億円(同構成比10.1%)。

豚の産出額は、小規模の養豚農家が廃業する一方で大規模生産者が生産を拡大する中、家計需要の伸びを背景に平成30年7~8月の豚肉価格が過去最高水準に達したものの、10月以降は前年を大きく下回って推移したため、前年比6.7%減の6062億円(同構成比6.7%)。

※統計情報のページに年次別養鶏産出額の表を掲載。