第59回全国家畜保健衛生業績発表会開く
農林水産省は9月26、27の両日、東京都港区のヤクルトホールで「第59回全国家畜保健衛生業績発表会」【写真右】を開き、都道府県と全国6かの地域ブロックの発表会を経て選出された各都道府県1演題(北海道のみ22演題)の48演題のほか、動物検疫所、動物医薬品検査所、学識経験者による特別演題も発表された。
48題の発表の中から、福島県中央家畜保健衛生所と長崎県中央家畜保健衛生所の発表(いずれも牛での事例)が農林水産大臣賞に選ばれた。鶏に関係する演題は次の通り。
①農場視察受け入れにおける防疫対策の一考察(高知県中央家保嶺北支所・濱﨑健太氏)②県内養鶏場で発生した伝染性気管支炎と再発防止対策(山口県中部家保・木本結貴氏)③道内初の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生と厳寒期の防疫対応(北海道十勝家保・太田晴喜氏)④HPAI発生農場における防疫措置完了後の取り組み(青森県青森家保・齋藤豪氏)⑤HPAI発生農場の早期業務再開に向けた支援体制とその取り組み(宮城県北部地方振興事務所栗原地域事務所・齋藤拓海氏)⑥HPAIの発生に備えた周辺農場に対する損失軽減の取り組み(千葉県東部家保・関谷圭美氏)⑦HPAI防疫対応としての一般廃棄物処理施設の利用検討(山梨県西部家保・深澤映生氏)⑧HPAI発生に伴う追跡・検診係の業務(佐賀県中部家保・溝上恵氏)⑨HPAI等防疫演習の成果と課題(滋賀県家保・宮田朋香氏)⑩管内大型採卵鶏農場の「農場HACCP認証農場」取得に向けた取り組み(京都府中丹家保・中川一樹氏)⑪福岡県産ブランド鶏「はかた地どり」農場HACCP認証取得に向けた挑戦(福岡県両筑家保・永野英樹氏)⑫海外悪性伝染病の発生に備えた防疫資材の効率的整備への取り組み(熊本県中央家保・稲生祐輔氏)⑬岐阜大学と連携した産業動物獣医師育成・確保の取り組み(岐阜県中央家保・北村夕子氏)⑭皮膚型鶏痘の発生がみられた採卵鶏農場のワクモ対策(島根県西部家保・高橋希氏)。
特別演題は「携帯品家きん畜産物の汚染状況調査とH9N2亜型鳥インフルエンザウイルスの鶏初生ひな感染試験」(動物検疫所精密検査部・柴田明弘氏)、「最近の動物医薬品検査所における薬剤耐性に係る研究業績」(動物医薬品検査所・白川崇大氏)。
発表会に先立ちあいさつした農水省消費・安全局の池田一樹局長は、国内で発生した豚コレラの状況を説明するとともに、中国で発生したアフリカ豚コレラや、アジアを中心としたAIの侵入リスクが高まっているとし、「家畜保健衛生所の皆さんには、農場が飼養衛生管理基準を徹底するよう指導を行なってほしい」と述べ、まん延防止のためには「農場段階での発生予防と、早期発見・早期通報、防疫の迅速・的確な初動体制が重要になる」と強調した。また、疾病の検査体制の向上も重要だと指摘した。