盛り上がりに欠く鶏卵・鶏肉相場
供給増、暖冬で年末も期待薄
1~10月平均の鶏卵相場(東京M加重)は、178円と前年同期を23円下回り、鶏肉相場(東京正肉加重)も、もも肉594円(前年同期比33円安)、むね肉283円(同32円安)で推移。今後も暖冬予想や潤沢な供給見込みなどから、特に鶏卵相場は年明け以降のさらなる低迷を心配する声も出ている。
〈鶏卵〉
11月15日に東京で行なわれた青森県の生産者と首都圏の流通関係者との懇談会【概要次号】では、産地側から飼料・資材価格、運賃、人件費などが値上がりし、厳しい状況にあることが報告され、「鶏卵相場は年間最低200円以上を維持してほしい」との切実な声も。
ただ、流通側からも、同様のコスト上昇に直面していることが報告され、さらに直近の需給について「関東ではかなり余剰感が出ている」「え付け羽数は全国的にまだ増え続けており、業界一丸となってさらなる需要拡大を目指さなければ、再び低卵価となってしまう」との危機感が示された。
今年は東日本から西日本へ卵を流通させることで、東西のバランスが取られてきた面があるものの、直近では関西からも「かなり需給が緩和している」との声が聞かれる状況。大阪相場は19日に5円下がり、東京と10円差となった。
11月20日時点の相場を前年と比較すると、東京は35円安の195円、大阪は20円安の205円、名古屋は33円安の200円、福岡は25円安の190円。ただ、直近の相場は東西とも全く上昇力を欠いた状況となっている。
〈鶏肉〉
国産鶏肉は基調として生産・消費の拡大傾向が続いているが、今年は相次ぐ災害により、生消がともに打撃を受けている。さらに前年を上回る輸入在庫や鶏肉調製品輸入量、輸入豚肉や魚介類の安値、暖冬傾向が相場の足を引っ張っている。
ただ、直近は肌寒い日も増え、鍋物需要の増加が期待できるほか、むね肉需要も堅調。前年には届かないが、年末はもも肉620円前後、むね肉270円台にはなるのではないかとみられている。