台風19号 養鶏関係も被害 今後の需給にも影響
台風19号は10月12日の午後7時前、大型で強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸し、関東地方を通過して13日未明に東北地方の東海上に抜けた。養鶏関係の被害の全容はまだ明らかではないが、各地で様々な被害が出ている。生産物の出荷や流通も滞り、鶏卵相場(M加重)は16日に各地でM加重で5円上昇し、東京、大阪、名古屋で205円、福岡で195円となった。
今回の台風19号の特徴は、台風本体の発達した雨雲や、周辺の湿った空気の影響で、東海や関東甲信越、東北地方を中心に、広い範囲で記録的な大雨となったこと。10日からの総雨量は神奈川県箱根町で1000ミリに達し、関東甲信地方と静岡県の17地点で500ミリを超え、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県に大雨特別警報が発表された。
国土交通省によると、17日現在で、豪雨により河川の堤防が壊れる「決壊」が発生したのは7つの県の合わせて68河川、125か所(国の管理する河川では7つの河川の12か所)。さらに、豪雨による土石流や、がけ崩れなどの土砂災害、道路の陥没なども各地で発生した。
17日現在で各県でまとめている農林水産業の被害速報では、水田、畑、野菜、果樹、畜産などに大きな被害が出ている。ただ、養鶏関係の全容は、現段階ではほとんど明らかになっていない。現時点では、岩手県で鶏舎への浸水により約5万9000羽のブロイラー、仙台市で約3万羽の採卵鶏、埼玉県で約10万羽のウズラの斃死被害が報告されているほか、東北の食鳥ローカルインテ本社が被災し、電話などでの連絡が取りにくい状況になったとのこと。
このほか、鶏舎や施設への浸水や停電は各地で多数発生したもよう。中には、台風15号の被害で補修していた鶏舎や堆肥舎の屋根が再び飛んだケースや、再度の停電を経験した農場も多く、その後復旧し、「なんとかやれている」との声も聞かれるが、度重なるストレスによるものなのか、卵重が戻らないとの声も。
テレビなどでも大きく報じられた、福島県から宮城県に向けて流れる阿武隈川水系沿いにある農場では、土砂崩れで車が農場に行けなかったり、一帯が停電し自家発電が切れてしまうと大きな被害になりかねない養鶏場もあるもよう。長野県でも車が農場に入っていけないケースがあるようで、復旧が急がれている。
台風19号の接近に伴い、10月12、13日の「ふくしまたまごフェスタ」「ふくしまやきとりまつり」、12日の「千葉県畜産フェア」などの消費拡大イベントも中止となった。