動物福祉と鶏卵の競争力で講演 ゲン・コーポレーションの孵化場経営懇話会
㈱ゲン・コーポレーション(渡邉周治社長―本社・岐阜市折立296-1)は7月10日、岐阜市の岐阜グランドホテルで第22回孵化場経営懇話会を開き、契約孵化場の代表者らが参加した。
主催者を代表してあいさつした渡邉周治社長は多数の出席者に謝意を表し、今回の3人の講師を紹介した。また、2017年3月10日に日本養鶏協会と日本卵業協会が開いた講演会で、ハイライン社のトーマス・ディクソン氏が「アニマルウェルフェア(AW)の見通し」のテーマで講演したことにふれ、「生産者がケージフリーに設備投資した分のコストアップは誰が負担するかという課題が、当時はっきり見えた。今回の懇話会に際して〝ケージフリー卵の価格アップを消費者は受け入れているか〟のテーマに絞ってその後の進展をディクソン氏に尋ねたところ、興味深い報告をいただいた」とし、その内容を紹介した。
また、エリッヒ・ウエスヨハン会長からのメッセージを代読し、「EWグループの採卵鶏育種会社であるハイライン社、ローマン社、H&N社の育種プログラムは継続的に規模拡大しており、ローマン社ではスコットランドのリサーチ農場にさらなる投資を行なった。ハイライン社ではアイオワ州のダラスセンターに新たなリサーチ農場が完成した。母集団の規模拡大だけでなく、飼養期間も延長したことにより、育種改良のスピードが速くなる。
我々の育種改良の専門家は、グループ内の育種改良の分野を強化すると同時に、特定の研究機関とノウハウを共有し、ゲノム選抜のような共通プロジェクトを進めている。数年前にも報告した通り、特定の独立した育種プログラムを維持し、独立した外部の研究開発への有意義な投資により、それぞれの育種改良を進めていく。
昨年、我々は初生オスひなの淘汰が禁止になることに伴い、卵内鑑別の実用化に向けた開発に携わっていると紹介した。このプロジェクトは現在も進行中で、多くの技術的課題は解決されているが、誤鑑別の確率が高いことが今後、解決すべき課題となっている。
ローマン社、ハイライン社、H&N社のそれぞれのチームは、日本市場で競争力の高い鶏種を安定的に供給し、日本市場の要求に応えるサービスを提供していくことを約束する」などと伝えた。
懇話会では、東京農工大学農学部生物生産学科の新村毅准教授が「採卵鶏のアニマルウェルフェア~世界的な動向と研究紹介~」、ビッグダッチマン社営業統括マネージャーのエドゥアルド・ベルナルディ氏が「ケージフリーシステム移行の動き~アジアと日本では?~」、JA全農たまご㈱東日本営業本部第1営業部の佐藤大二朗部長が「『鶏卵情勢』と食品としての『たまご』の競争力」と題して講演した。
(講演要旨などの詳細は本紙をお読みください)