セバ・ジャパンが創業10周年 動物用ワクチンを研究開発
フランスに本拠を置く動物用医薬品の大手、セバ・サンテ・アニマル社(略称・セバ社)の日本法人であるセバ・ジャパン㈱(本社・横浜市鶴見区末広町1-6)は今年で創業10周年を迎えたことから、2月21日に東京都港区の駐日フランス大使公邸で創業10周年パーティーを開き、取引先関係者らが多数出席した。
1999年に創業のセバ社は、ペット、産業動物、豚・鶏用の医薬品とワクチンの研究、開発、生産、マーケティングをメインとする動物用医薬品のグローバル企業で、世界第6位の地位を占めている。2009年に創業のセバ・ジャパンは、日本ゼオン㈱から継承した動物用ワクチン技術を基にした研究開発事業や薬事事業に取り組んでおり、㈱シーエーエフラボラトリーズから鶏用ワクチン「レイヤーミューンSE」「レイヤーミューンSE-NB」「レイヤーミューンAIV」、メリアル・ジャパン㈱から豚用ワクチン「サーコバック」「パルボテック」、犬・猫用医薬品「ケトフェン」を承継している。
創業10周年パーティーでは、ローラン・ピック駐日フランス大使が「日本とフランスの関係は、特に経済のつながりでターニングポイントを迎えている。日欧EPAが今年の2月1日に発効したが、日仏両国はすでに結んでいる重要なパートナーシップを、今後に向けてさらに強化していく。このような中でセバ・ジャパンが創業10周年を迎えた。本日はたくさんの人に集まっていただいたが、セバ社とセバ・ジャパンの取り組みが素晴らしかったからに他ならない。今後10年、両社のパートナーシップがさらに実り多く、豊かなものになるよう心から祈念する」などと歓迎のあいさつを述べた。
セバ社のマーク・プリカズスキーCEOは「1999年に創業したセバグループは現在、5000人の社員を抱える動物用医薬品の企業で、世界第6位の地位まで上りつめた。私たちは動物の健康にとどまらず、人々を動物由来の感染症から守り、良質な動物性たんぱく質を供給するために努力を続けていく。こうした観点から、わが社では鳥類をターゲットにしたバイオテクノロジー医薬品を強化していきたいと考えている。地球上には十分に食べ物を得られない人々がまだたくさんいる中で、鶏肉と卵の消費量は大きく増加している。鶏肉を使った製品は栄養価が高く、しかも安く、宗教的な制約もほとんどない。さらに環境保護の面でも優秀である。とはいえ、動物も疾病のリスクから逃れることはできない。ニューカッスル病やガンボロ病、鳥インフルエンザなどの様々な感染症が鳥類を襲っている。私たちのチームがいくつもの感染症から動物たちを救うことに成功したことは誇らしいことであり、これを実現したのが『ベクターミューン』と呼ばれる私たちが開発したワクチンである。このワクチンは世界的に大きな成功を収めており、家きんの疾病を上手にコントロールしたいという生産者のニーズに応える決定的な切り札となっている。この成功は日本、米国、ハンガリーをはじめとする世界中の社員、研究者の努力の賜物に他ならない。特に最初の偉大な一歩を刻んだ日本のメンバーには特別なオマージュをささげたい。彼らの真摯な取り組み、謙虚な姿勢、チームワークの素晴らしさを心から称えたい。2009年に自ら進んでセバグループの傘下に入りたいと希望されて数々の成功を収めてきたことは、私にとっても大きな喜びで、まさに素晴らしい10年を過ごすことができた」などとお礼を述べた。
セバ・ジャパンの安田斡司代表取締役は「セバ・ジャパンは2009年2月に社員8人で設立した。設立当初から横浜市鶴見区にある横浜バイオ産業センターにオフィスと研究所を構え、その後、動物実験を実施するために千葉県成田市にある㈱NAS研究所の一角を借りて試験施設を設けることができた結果、新型ワクチンのデザインから作製、試験を行なう体制が整い、現在に至っている。創業メンバーが以前勤めていた日本ゼオンで培った動物用ワクチンの研究開発を継続し、セバグループの一員として現在も新しい動物用ワクチンの研究開発を進めている。その後、薬事部門を立ち上げて動物用医薬品の製造販売承認申請業務を開始し、さらに販売部門を立ち上げて製品の販売促進とサービス業務を進めている。このような事業拡大が功を奏し、当初8人であった社員も10年経った現在は16人に倍増した。今後も一人ひとりが青雲の志を抱いて社業にまい進する覚悟である」などとあいさつした。
ピック大使、プリカズスキーCEO、安田代表取締役ら関係者による鏡開きの後、(公社)日本動物用医薬品協会の大石弘司専務理事の発声で乾杯し、なごやかに歓談した。