コストに見合う「ひな価格」に理解を 配合飼料価格やエネルギーコスト上昇
孵化場や育成業者らが…
配合飼料価格や原油をはじめとするエネルギーコストなどが上昇する中、養鶏産業の基礎資材の「ひな」を生産・供給する孵化場や育成業者を取り巻く経営環境は一段と厳しくなっている。
JA全農が公表した全国全畜種総平均の配合飼料価格は、令和2年10~12月期から令和4年1~3月期までの直近1年半で合計1万7100円も上昇した。飼料基金からの補てんはあるものの、当該四半期のみが対象で実質負担額は着実に増えている。配合飼料価格は4月以降もさらなる値上げが見込まれているが、今後の補てん動向については不安視されている。
さらに原油価格の高騰に伴い、レギュラーガソリン1リットルの店頭現金価格の全国平均は2月14日時点で171.4円(消費税込み、資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」)となり、平成20年以来の高値水準に突入した。また、各種資材や人件費などもコストアップ要因になっている。
このため、各孵化場は配合飼料価格の高騰や飼料基金からの補てん金の減少、燃料用の重油やひな配送車のガソリン代、孵化にかかる電気代の上昇、ひな配送車のドライバーの人材不足など、大変厳しい経営環境を訴えており、「コストアップ分をひな価格に転嫁できなければ、経営を持続できない」との声も上がっている。
昭和35年には全国に1471か所あった孵化場は、平成22年には138か所(レイヤー33、ブロイラー92、卵肉兼業13)となり、10分の1以下に減少(中央畜産会「種鶏・ふ卵関係資料」)。さらに日本種鶏孵卵協会による令和3年の「ひなふ化羽数データ収集調査」に回答した孵化場は83か所(レイヤー20、ブロイラー56、卵肉兼業7)となっている。
同協会の都丸高志会長は「ひなの生産コストも急上昇しているため、再生産ができなくなり、孵化場の数がさらに減少すると、現状の鶏卵250万トン超、ブロイラー年間出荷7億羽超となっている養鶏産業の規模を維持できなくなる可能性がある」と危機感を強めており、孵化場や育成業者が再生産できるひな価格への理解が、養鶏産業全体に求められる。