『トリダス自動投入ロボットシステム』を商品化 前川製作所

衛生的な鶏もも肉の安定生産を実現

トリダス自動投入ロボットシステム(多関節ロボットアーム3台仕様)

㈱前川製作所(前川真社長―本社・東京都江東区)は、このほど『トリダス自動投入ロボットシステム』を商品化した。すでに欧州と国内で納入先が決定し、年内に納入する予定。

同システムは、チキン骨付きもも肉全自動脱骨ロボット「トリダス」と、複数台の「トリダス」に自動投入可能なオートローダーシステム(オプション)に、画像処理技術と多関節ロボットアームを組み合わせて全自動で鶏もも肉を投入するシステム。脱骨工程の上流にあたる大ばらし機が、どのメーカー製であっても導入できる。

また、食鳥処理場の生産量に合わせて多関節ロボットアームを1台、2台、3台仕様の3種類から選択・組み合わせて配置でき、1時間当たり1000本から、最大6000本までの鶏もも肉を投入する。

同社は同システムで4件の特許を海外に出願しており、日本では同じ内容で特許を取得済み。

「トリダス」は、鶏もも肉から骨を全自動で脱骨するロボットで、1994年の開発以来、国内外の食鳥処理場で用いられ、2019年12月時点で26か国、約2000台の納入実績がある。しかし、脱骨工程の自動化が進む一方で、「トリダス」とオートローダーシステムに鶏もも肉を投入する作業は、人手で行なう必要があった。

「トリダス」は1台につき、1時間で1000本の鶏もも肉を処理するが、一般的に作業者1人当たり、オートローダーシステム付きの「トリダス」4台への投入が限界だった。

また、多くの「トリダス」が稼働するブラジルでは労働者保護の観点から、国が1日当たり600キロの搬送重量制限規制を設けており、フランスやその他の地域の食鳥市場でも人手不足が顕著になってきている。

このような背景から、国内外のユーザーからの強い要望を受けて、2015年から投入作業の自動化に着手し、2019年に自動投入ロボットシステムを商品化するに至った。

同システムは、画像処理技術により、鶏もも肉の裏表と足首位置を自動で検出し、多関節ロボットアームが鶏もも肉の足首をつかみ「トリダス」と、複数台の「トリダス」に投入可能なオートローダーシステムに投入する。

主な特徴は次の通り。

①処理量に合わせた配置が可能=多関節ロボットアームを複数台並べて設置できるため、処理量に合わせて配置できる。1時間当たりの処理能力は1000本(多関節ロボットアーム1台)から、最大6000本(同3台)。

②生産速度の安定化=画像処理と多関節ロボットアームによる投入は一定の速さで稼働するため、生産効率を落とすことなく「トリダス」に投入し続けることが可能。

③衛生的=人手を介せずに投入できるため、衛生的。

外形寸法は、ロボット架台が長さ1492ミリメートル×幅700ミリメートル×高さ2534ミリメートル。撮像装置が長さ680ミリメートル×幅670ミリメートル×高さ770ミリメートル。

日本の食鳥・食肉市場は、海外の労働力によって支えられている部分もあるが、新型コロナウイルスによって、世界規模で人の移動が制限される事態になったことで、労働力の確保が難しくなり、先行きが不透明な状況が続くことが予想される。

海外では従業員の新型コロナウイルスへの感染が確認され、労働力の減少によって生産規模を縮小し、操業を一時停止する食鳥・食肉処理場も出てきた。今後、安定した生産を続けるために、食鳥・食肉市場のさらなる自動化が求められており、その他の食品市場にとっても同様の状況となっている。

同社では、今回確立した鶏もも肉をつかむハンドリング技術を発展させ、将来的には「トリダス」以外の脱骨ロボットへの自動投入や食肉・食品のハンドリングなどへの応用も検討している。

問い合わせは同社ロボット&エンジニアリング部門(電03-3642-8966)へ。