ライフスタイルに合わせた新商品など紹介 ニッポンハムグループ展示会

『桜姫』では今年も「桜でお花見プレゼントキャンペーン」を実施

抗生物質フリーのタイ産『ハーブ爽育鶏』と『ハーブ爽育鴨』を紹介

日本ハム㈱(畑佳秀社長―本社・大阪市北区)は1月16日から18日まで千葉市美浜区の幕張メッセ、23日から25日まで大阪市西区の京セラドーム大阪で「2020ニッポンハムグループ展示会」を開き、両会場合わせて約1万4500人の取引先関係者や株主らが来場した。

今回の展示会のテーマは、昨年に続き〝食の未来 ともに創る〟。多様なライフスタイルに合わせた新商品(コンシューマ70品、業務用56品)やリニューアル品、メニューなどを提案した。

食肉事業本部のブースでは、ブランド国産鶏肉『桜姫』のもも肉、むね肉、ささみ、手羽先、手羽元などの各アイテムを展示したほか、桜前線の北上に合わせて実施する「桜でお花見プレゼントキャンペーン」を紹介。1000円分のオリジナルQUOカードが、九州~関東エリア(実施期間は3月3日~4月6日)で873人、東北~北海道エリア(同4月7日~5月11日)で396人に当たる。『桜姫』のブランドシール1枚とレシートで簡単に応募でき、「#桜姫」「#お花見」を両方つけてSNS(インスタグラム、ツイッター)に投稿して応募すると、当選確率が2倍にアップする。昨年の同キャンペーンの実績によると、実施店舗数は1916店舗、応募総数は4026件。『桜姫』の認知度は35.9%で、キャンペーン前より3.5%上昇したとのこと。

また、植物性100%の飼料にオレガノを配合し、抗生物質不使用のタイ産『ハーブ爽育鶏』と『ハーブ爽育鴨』、今春から秘伝醤油だれを変更して新発売する炭火焼き鳥『秘伝炭焼』シリーズの各アイテム(ねぎま串、もも串、かわ串、ももにんにく串、レバー串、つくね串、かわ塩串、胸肉軟骨塩串、ねぎま塩串、もも塩串)も展示した。

このほか「ASF(アフリカ豚熱)による世界の食肉需給の変化」による豚不足や牛肉価格の高騰、鶏肉の生産増加、代替肉の市場拡大、「貿易協定の変化」による牛肉・豚肉・鶏肉への影響とニッポンハムグループからの提案についてパネルで説明した。

〝ストック〟ニーズに対応した『袋のままできるオムライス』

美ノ国ブランドの鶏肉ギフト『美し農場』

加工事業本部の各ブースでは、重点ブランドの強化と新市場・新カテゴリー創造に向けた各種商品を展示。

『チキチキボーン スモーク風味』は、鶏の手羽肉をジューシーに仕上げた骨付きフライドチキン。食欲をそそる香ばしいスモーク風味が特長の春夏限定商品。『からころちゃん マヨ風味』は、おやつ感覚で食べられる一口サイズのから揚げで、国産鶏むね肉を使用している。陳建一氏監修の『中華名菜 四川冷菜 棒棒鶏』は、国産鶏むね肉を使用しており、きゅうりがあればすぐに棒棒鶏ができる。

働く主婦の〝ストック〟ニーズに対応した『袋のままできるオムライス』(チキンオムライス、カレーオムライス)は、常温で保存でき、卵2個分の溶き卵を入れて袋のまま電子レンジで加熱するだけで、オムライスが簡単にできる。単身者の〝ワンハンド〟ニーズに対応した『Healthy Kitchen ZERO 糖質0 チキンスティック』は、原料に鶏むね肉を使用し、1パック(40グラム)当たり7.7グラムのたんぱく質が含まれる。スティック状のため、片手で食べられる。

ギフトのブースでは、美ノ国シリーズの新商品『美し農場』を紹介。美ノ国ブランドのこだわりを受け継ぎ、国内の自社農場で飼育した鶏肉を使用して、しっとりした食感に仕上げた。特製の和山椒ソース付きで、しっかりしたスモークの香りを楽しめる〝燻シ鶏〟と、あっさりとした〝炊キ鶏〟のギフトセット。

冷凍食品のブースでは、国産鶏肉を使用した骨なしフライドチキン『ハピチキ~ハッピーフライドチキン~』や、国内製造・国産鶏肉使用の『あげ玉とり天』などを展示。

プロモーションのブースでは、エステティックTBCと共同開発した『ハーーブジュレのサラダチキン』と『トマトジュレのサラダチキン』を紹介。サラダチキンを食べやすくダイスカットしているほか、ジュレにはコラーゲン2000ミリグラム、ビタミンC50ミリグラム、ヒアルロン酸25ミリグラムが入っている。

企業メッセージのブースでは、CSRの重要課題の1つである「食とスポーツで心と体の元気を応援する」をテーマに北海道日本ハムファイターズ、セレッソ大阪などのプロスポーツやアマスポーツ、食とスポーツの知見を生かしたフレイル予防などの取り組みを重点的に紹介した。

〝食の未来〟につながる提案を 日本ハム・畑佳秀社長

畑佳秀社長

1月17日に東京会場で記者会見した日本ハムの畑佳秀社長は「我々を取り巻く環境は、国内では消費増税後の節約志向の高まりやCSFのまん延、国際社会では年初来の不安定な状況や事業拠点があるオーストラリアの森林火災など、様々な変化が起こっている。今年の東京オリンピック・パラリンピックは昨年のラグビーワールドカップに続いて注目が集まっており、様々な多様性や需要が高まるのではないかと期待している。さらに12月には東京栄養サミット2020も開催されるため、食・健康・スポーツが大きく注目されるのではないかと思う。その中で食とスポーツを前面に押し出した展示会にしている。このような環境の中で4月から始まる新しい事業年度は、中期経営計画2020の最終年度に当たる。当初の目標に一歩でも近づけるよう全力でまい進していきたい。

今年は特に、ニッポンハムグループを取り巻く様々なステークホルダーの皆様とのエンゲージメントをしっかり強めていきたいと思っている。これにより我々の理念やビジョン、戦略・戦術、商品サービスの提供を皆様に共感していただけるように運営していたい。もう1つは今年をニッポンハムDX(デジタルトランスフォーメーション)元年と位置付け、様々なデジタルテクノロジーを使って新しいビジネスモデルを追求していきたい。ビッグデータやAI、IoTなどを利用したものが家庭、流通、店舗、物流などのあらゆるシーンで使われてパーソナライズ化していくと予想され、まさに自分好みの生活がDXによって実現すると考えている。我々の事業もそれに対応した形にしていき、DXによって生産性の向上も図っていきたい。この展示会は中期経営計画2020の未来につなげる仕組みづくりを実践する場であり、その意に沿った〝食の未来 ともに創る〟をテーマにしている。来期の商品戦略の提案だけでなく、中長期の視点で〝食の未来〟につながる提案をしていきたい」などと述べた。

井上勝美副社長兼食肉事業本部長は「昨年の年末商戦は全体的には低調だった。11~12月は販売数量に苦労したが、価格は全畜種で低く推移したため、売りやすくなったとも言える。和牛は12月に入って相場が18年ぶりに下がった。特に上物の販売が難しく、消費者の低価格志向はまだまだ根強い。国内産の鶏肉はここ数年好調だったが、増羽意欲が増した結果、供給量が多くなり、相場が下がって販売に相当苦労した。ただ消費は伸びているため、今後は順調に推移すると考えている。国内産の豚肉は輸入物に押されたと考えており、わが社の販売数量は昨年並みに終わった。1月以降は不透明なことが多い。

今回の展示会では、国内牛のカテゴリー強化として、鹿児島県霧島での新しい牧場展開を紹介している。変化する世界の貿易協定や、中国のASFの脅威についてはパネルで説明している。消費者の関心が高い健康・安全面では、成長ホルモン剤や抗生物質フリーの商品としてウルグアイ産ビーフ、カナダ産『麦育ち三元豚』、タイ産『ハーブ爽育鶏』を紹介している。3畜種をそろえているのは当社だけだと考えている。人手不足の中で一次加工を加えた牛肉、豚肉、鶏肉、内臓なども展示しているほか、ブランド食肉の『桜姫』では〝桜でお花見プレゼントキャンペーン〟を紹介している」などとした。

井川伸久取締役常務執行役員加工事業本部長は「加工事業本部は既成概念と低収益からの脱却に舵を切った。今回は重点商品の『シャウエッセン』『石窯工房』『中華名菜』をメインに様々な取り組みを行なっている。新しいチャレンジとして、フードスタイルラボで紹介している5つの食卓のうち〝ストック〟〝ワンハンド〟〝レンチン〟の項目に我々は注力した。

大豆たんぱく、こんにゃくを使った『ナチュミート』のハムタイプ、ソーセージタイプ、ミートボールタイプ、ハンバーグ、キーマカレーの5品目を紹介している。先日、日本経済新聞やテレビで報道され、我々が思っていた以上にお客様の反応が高い。2015年から業務用でこのような食材を提案し、そのノウハウを生かして今回、コンシューマ商品として発売する。畜肉メーカーとしてはいろいろな葛藤はあったが、お客様にヘルシーでおいしいものを提供していこうと新ブランドを立ち上げだ。植物肉ではなく〝次世代のお肉〟として考えていただきたい」などと述べた。