タマゴ科学研究会が第6回タマゴシンポジウム開く 

鶏卵産業の関係者や研究者ら約240人が出席し熱心に聴講した

タマゴ科学研究会(菅野道廣理事長)は6月24日、東京都文京区の東京大学農学部キャンパス弥生講堂一条ホールで『第6回タマゴシンポジウム』を開き、鶏卵産業の関係者や研究者ら約240人が出席した。

前回は昨年10月に「国際たまごシンポジウム」を日本たまご研究会(松田治男会長=広島大学名誉教授)と共催したため、東京での開催は2年ぶり。

東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センターの関崎勉センター長と、菅野理事長(九州大学・熊本県立大学名誉教授)があいさつし、菅野理事長を座長に、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(医師、医学博士)が『健康長寿 鍵は〝食〟―国家戦略としてのフレイル予防―』のテーマで基調講演。

東京家政大学の峯木眞知子副学長を座長に、東京農業大学応用生物科学部栄養科学科人間栄養学分野・同大学院農学研究科食品栄養学専攻の川野因教授が『タマゴが主役の未来の食育』、東京大学の局博一名誉教授を座長に、キユーピー㈱研究開発本部技術ソリューション研究所の小林英明コーポレート・サイエンティスト・フェローが『タマゴからの贈り物 卵黄レシチン・天然乳化剤としての魅力と可能性』、東京大学大学院の阿部啓子特任教授を座長に、宮城大学食産業学群の石川伸一教授が『タマゴと分子調理』について講演。岐阜大学の渡邊乾二名誉教授のあいさつで閉会した。

関崎氏はあいさつの中で、鶏卵などによるサルモネラ食中毒の数は、産業関係者の努力や流通システムの改善などにより減少し、死者も平成24年以降発生していないことなどに触れ、食の安全を研究する立場から「勝って兜の緒を締めよ、という言葉もあるが、状況がまた万一にも悪い方向に進むことがないよう、常に気を引き締めて、衛生管理に努めていただきたい」と呼びかけた。

菅野理事長は、多数の出席者と講演者に謝意を表した上で、「タマゴの世界は非常に広がっているが、欧米では現在、たんぱく源を動物性から植物性へと転換する動きが活発になっている。本日の講演内容は、そのような流れに対する、一つの解決策の手がかりになるような情報にもなるのではないかと、大変期待している」と述べた。