卵価、最低の85円でスタート 食鳥も値下がり基調
平成16年の鶏卵相場(全農・東京M加重)の初値は、これまでの最安値であった平成6年の110円を25円も下回る、史上最低の85円(止市からは70円安)となり、波乱の1年を予感させるスタートとなった。
年末年始も営業する量販店や外食産業が増えたこともあって、一部には卵不足のところも出たようだが、史上最低の初値について荷受筋は「滞貨玉を少しでも早く一掃させるためには、この値段にせざるを得なかった」などとしている。
1月8日の日本卵業協会・全国たまご商業協同組合の合同新年賀詞交歓会でも、話題は低卵価一色。日卵協の寺西会長は「現代の鶏卵業界のあり方への警鐘」とし、危機感を募らせた。
連休明けの相場に対しては、値上げへの期待感が高まっていたものの、連休最終日の12日に鳥インフルエンザの発生が発表されたためか、翌13日は保合い。その後、16日にまでには値上げに転じ、大阪、名古屋では110円にまで回復したものの、全農・東京は初値からの保合いが続いた。
この要因としては、依然として首都圏での荷動きの重さが挙げられていたものの、寒さの厳しさとともに鍋物需要などが増加し、ようやく20日には10円上げの95円となり、下旬にかけては上げ基調になるとみられる。
食鳥相場(日経・東京)は、もも肉、むね肉ともに年末を下回ってスタートした。その後も日を追うごとにジリジリと値を下げる厳しい展開となり、20日現在でもも肉は630円台、むね肉は190円台に突入している。
昨年末に米国でBSEが発生したため、代替需要を期待した向きもあったようだが、この相場からも、その動きは見られない。量販店などは、魚介類を代替需要のターゲットにしているとの情報もあるため、食鳥相場は今後、下げ基調が続くとみられる。
一方、懸念されていた鳥インフルエンザの発生に伴う消費への影響は、行政当局が「鶏卵・鶏肉を食べても人に感染することはない」と強く呼び掛けたことが効を奏し、消費者も冷静に受け止めているためか、今のところ鶏卵、鶏肉ともに消費が著しく減少するような事態にはなっていないようだ。
ただ、山口県産の鶏卵、鶏肉への風当たりは相当強く、「山口県産の鶏卵、鶏肉は扱っていません」などの表示が量販店などの店頭で相次いだため、農林水産省・食肉鶏卵課は不適切で風評被害を招くとし、食肉や流通、量販店などの関係団体に対して自粛するよう要請した。