「日米貿易協定」が最終合意

殻付卵と、鶏肉の生鮮・冷蔵、鶏肉調製品(牛肉・豚肉を含む)は現行の関税率維持

安倍首相とトランプ米大統領は9月25日(日本時間26日未明)、ニューヨーク市内のホテルで「日米貿易協定」の最終合意を確認し、共同声明に署名した。

協定は、①工業品②農産品③デジタル貿易ルール――の3分野からなり、法的手続きが必要なため、正式な署名は10月上旬になる見込み。年内発効に向け、日本政府は10月4日に召集の臨時国会での承認を目指している。

今回の合意を受けて、農林水産省は「農林水産品に係る日本側の関税については、TPP(環太平洋経済連携協定)の範囲内とすることができた」との大臣談話を発表するとともに、合意の概要を公表した。

鶏卵、鶏肉関係の関税率は、先に発効している米国を除くTPP11(日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)協定では、即時または段階的に引き下げて最終的に撤廃することになっていた。

今回合意した日米協定では、鶏肉の生鮮・冷蔵(丸どり・その他鶏肉の現行関税率11.9%、骨付きもも同8.5%)、鶏肉調製品の牛肉・豚肉を含むもの(同21.3%)、殻付卵(同17.0%、生鮮・冷蔵・冷凍品)、その他の殻付卵(同21.3%、ゆで卵やピータンなど)は除外となっているため、現行の関税率が維持される。

TPPと同じ内容とされるのは、鶏肉(冷凍)、鶏肉調製品(牛肉・豚肉を含まないもの)、全卵または卵黄、卵白の関税率で、最終的には撤廃する。

具体的には、TPP11協定では、鶏肉の「丸どり・骨付きもも以外の冷凍鶏肉」(同11.9%)は段階的に下げて6年目に撤廃。

「冷凍丸どり」(同11.9%)と「冷凍骨付きもも」(同8.5%)は段階的に下げて11年目に撤廃。

牛肉・豚肉を含まない「鶏肉調製品」(同6%)は発効時に税率を20%削減し、段階的に下げて6年目に撤廃。

鶏卵の「卵白」(同8%)は凍結卵白、卵白粉とも即時撤廃。

「卵黄」は凍結卵黄(20%またはキロ48円のいずれか高い税率)、卵黄粉(同18.8%)とも段階的に下げて6年目に撤廃。

「全卵」のうち、凍結全卵(21.3%またはキロ51円のいずれか高い税率)は段階的に下げて6年目に撤廃。

全卵粉(同21.3%)は発効時に税率を50%削減し、6年据え置き後、7年目に25%削減。6年据え置き後、13年目に撤廃――となっていた。

このほかの家きん製品の関税率は、現時点では明らかではないが、TPP11の内容と同じであれば次の通りとなる。

「アヒルの肉(丸どり以外)」(同9.6%)は段階的に下げて6年目に撤廃。

「鶏の肝臓」(同3%)、「七面鳥の肉・肝臓」(同3%)、「アヒル・ガチョウの肉(丸どり)」(同9.6%)、「アヒル・ガチョウの脂肪質の肝臓(フォアグラ)」(同3%)、「ガチョウの肉(丸どり以外)」(同9.6%)、「アヒル・ガチョウの肝臓」(同3%)は即時撤廃。

「ホロホロ鳥の肉」(同9.6%)、「ホロホロ鳥の肝臓」(同3%)、「七面鳥肉調製品」と「家きん肉調製品」の牛肉・豚肉を含むもの(同21.3%)は段階的に下げて11年目に撤廃。

同じく牛肉・豚肉を含まない両調製品(同6%)は即時撤廃。