11月の鶏肉相場(もも・むね合計)957円に 12月も不足感 消費の動向などがカギに
食鳥相場(日経・東京、正肉加重)は、家庭用も業務・外食需要も好調に推移し、11月の月間平均は、もも肉630円(前年同月比8円安)、むね肉327円(同63円高)、もも・むね合計は957円(同55円高)となった。牛肉、豚肉に比べ割安で健康にも良いことが評価される一方、国産の不足感が続いているため、12月も強基調の展開を予想する向きが多い。
(一社)日本食鳥協会(佐藤実会長)は11月28日に理事会を開き、平成26年度事業の進捗状況などを協議した。
冒頭あいさつした佐藤会長は、食鳥相場が高値で推移していることについて「特に長年の懸案であったむね肉、ささみは、今までにない価格水準と需給が定着した。引き続き需要を支えながら、安定した価格で推移することを願いたい」と述べたほか、鳥インフルエンザの防疫対策に業界が一体となって取り組むよう要請した。
各部会から報告された鶏肉の需給動向は、次の通り。
▽生産加工部会=9月まで順調であった生産は、10月に体重を落としたインテもあったが、11月に入って各社とも回復がみられる。きもを除く部位の在庫がない。
直近で一番問題になっているのは人手不足で、外国人研修生の在日期間の延長や、枠の拡大などをお願いしたい。
鳥インフルエンザについては、例年よりも早く各地で野鳥での発生がみられるため、各社とも気をつけている。
▽荷受部会=もも肉はブラジル産の解凍物が100グラム68円、78円で一部出回っているため、国産チキンの売れ行きを押し下げているが、年末のもも肉の冷凍品については各社とも手当てできたのではないか。むね肉はコンビニや加工筋が国産をうたっているため、なかなか変えられない事情があり、高くても動いている。冷凍品で380~400円となっているが、学校給食や加工筋には厳しい価格となるため、特に増量する商品ではブラジル物にシフトする動きもある。
節約の動きなどで百貨店の売れ行きが鈍っているが、スーパーは豚肉が高いこともあり、鶏肉の特売頻度が高い。今年のクリスマスは平日のため売れ行きが懸念される。一部、骨つきもも肉が足りないとの話もある。
課題は、配送コストの上昇と人手不足。豚肉は来年3月ごろに頭数がある程度戻ってくる見込みであるほか、牛肉もオーストラリアとのEPAがスタートすると、スーパーや外食でオージービーフの販促企画が組まれ、鶏肉の売り場が縮小されることが心配される。
▽小売部会=業務関係は国産志向の高まりで動きは良いが、品不足のため苦労している。焼き鳥屋の数は増えているが、一店舗当たりの売り上げは落ちている。ホテルの客室稼働は90%前後で良いが、宴会と飲食は今ひとつ。学校給食は豚のPEDの影響で鶏肉メニューを増やしている。外食や弁当、総菜関係も国産志向が強く、オファーはあるが、品不足で対応できていない。
小売り関係は、家計消費では数量、金額とも前年を上回る数字が出ているが、全く実感がない。量販店でも食品全体の売り上げが厳しい。一番大きな要因は買い控えで、特に平日の夕方の売り上げが落ちている。12月は総選挙が予定されているが、過去には忘年会や贈答品の動きが悪くなったため、非常に厳しいとみている。
クリスマスは、景気が今ひとつであることと、曜日が良くないが、量販店やコンビニが思ったほどの品揃えができていないため、商品を確保できた専門店はそこそこ売れるのではないか。年末年始については年々、遊びに来たついでに買い物する流れになっているため、盛り上がりに欠ける。特に地鶏の動きが悪い。いずれにしても商品が足りない。
▽種鶏ふ卵部会=今年の年末用のひなについては、問題なく入雛できたと考えている。来年は1月、4月、10月、11月がひな不足にはならないものの、タイトになると見込まれる。