心筋梗塞 卵の摂取頻度との関係薄い 厚労省研究班が確認
卵と心筋梗塞の発症リスクは関連なし――。厚生労働省研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)は、このほど卵の摂取頻度と心筋梗塞の発症率との関連を調べた疫学調査の結果を、英国の栄養専門誌(「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション」11月号)に発表した。
研究班は1990年と93年に、全国10か所の保健所管内に住む40~69歳までの男女、約10万人を対象に食事や生活習慣に関するアンケートを実施。このうち循環器疾患がないなどの条件を満たした約9万人について、卵を「ほとんど食べない」「週1~2日」「週3~4日」「ほとんど毎日食べる」の4グループに分け、2001年まで追跡調査した。
その結果、血清総コレステロール値が240mg/dl以上の人は、180mg/dl未満の人に比べ心筋梗塞の発症リスクが2倍高くなり、血清総コレステロール値と心筋梗塞の発症リスクとの間に関連があることを、改めて確認した。
一方、(1)卵を食べる回数が少ないほど、心筋梗塞の発症リスクが低くなるわけではなかった(2)血清総コレステロール値の平均値は、卵をほとんど毎日食べるグループでも高くなってはおらず、むしろほとんど食べないグループでやや高めであった――ことなどから、コレステロールを多く含む卵の摂取頻度と、心筋梗塞の発症リスクの間に関連は認められず、心筋梗塞を予防するために、卵の摂取を制限する根拠は得られなかった。
研究班は「現在の日本の一般的な食習慣の範囲では、多くの場合、卵の摂取による血清総コレステロール値の変動は、それほど大きなものではないと考えられる。血清総コレステロール値は、卵だけで決して決まるものではない。動物性脂肪の摂取量や、食事以外の遺伝的な体質によっても影響を受けることが分かっている」としている。