鶏卵97%、鶏肉66%に上昇 令和2年度の食料自給率

カロリーベース食料自給率は37%

1人1年供給純食料 鶏卵17.1キロ、鶏肉13.9キロ

農林水産省が8月25日に公表した令和2年度のカロリーベース(供給熱量ベース)の食料自給率は、前年度より1ポイント低い37%となった。飼料自給率は前年度と同じ25%で、カロリーベースの食料国産率(飼料自給率を反映しない)は前年度と同じ46%となった。

令和2年度のカロリーベースの食料自給率は、原料の多くを輸入している砂糖、でん粉、油脂類などの消費が減少したものの、米の需要が長期的に減少していることや、小麦が特に作柄が良かった前年に比べて単収が減少したことにより、前年度より1ポイント低い37%となった。

生産額ベースの食料自給率は、豚肉、鶏肉、野菜、果実などの国内生産額が増加したことや、魚介類、牛肉、鶏肉、豚肉などの輸入額が減少したことなどにより、前年度より1ポイント高い67%となった。

令和元年度から公表している食料国産率(飼料が国産か輸入かにかかわらず、畜産業の活動を反映して国内生産の状況を評価する指標)は、カロリーベースが前年度と同じ46%、生産額ベースが前年度より1ポイント高い71%となった。

主要農産物の自給率の推移は表「主要農産物の自給率の推移」の通り。

令和2年度の鶏卵の国内生産量は259万6000トン(前年度比2.0%減)、輸入量は10万2000トン(同9.7%減)、輸出量は2万トン(同100.0%増)で、国内消費仕向量は267万8000トン(同2.7%減)。この結果、鶏卵の自給率は前年度より1ポイント高い97%となった。

令和2年度の鶏肉の国内生産量は165万6000トン(同1.5%増)、輸入量は85万9000トン(同6.2%減)、輸出量は1万トン(同11.1%増)で、在庫減少分の1万1000トンを加えた国内消費仕向量は251万6000トン(同0.8%減)。この結果、鶏肉の自給率は前年度より2ポイント高い66%となった。

このほかの自給率は、牛肉は前年度より1ポイント高い36%、豚肉は前年度より1ポイント高い50%、牛乳・乳製品は前年度より2ポイント高い61%、魚介類は前年度より2ポイント高い55%となった。

飼料自給率を考慮した自給率(カロリーベース)は、牛乳・乳製品は前年度より1ポイント高い26%となったが、このほかは前年度と同じで肉類7%、牛肉9%、豚肉6%、鶏肉8%、鶏卵12%であった。

国民1人・1年当たりの供給純食料は、鶏卵は前年度比0.5キロ減の17.1キロ、鶏肉は前年度と同じ13.9キロ、牛肉は前年度と同じ6.5キロ、豚肉は前年度比0.1キロ増の12.9キロ、牛乳・乳製品は同1.2キロ減の94.3キロ、魚介類は同1.9キロ減の23.4キロであった。

畜産物1人・1年当たり供給純食料の推移

国民1人・1日当たりの供給熱量は、前年度比71.3キロカロリー減の2268.7キロカロリー、たんぱく質は同1.7グラム減の77.9グラム、脂質は同1.0グラム減の81.9グラム。PFC熱量比率は、たんぱく質13.7%(前年度13.6%)、脂質32.5%(同31.9%)、糖質(炭水化物)53.8%(同54.5%)であった。

飼料自給率は前年度と同じ25%。粗飼料の純国内産自給率は前年度より1ポイント低い76%、濃厚飼料(国内産飼料用小麦や大麦などで、輸入食料原料から発生した大豆油かすなどの副産物を除いたもの)の純国内産自給率は前年度と同じ12%であった。

食料自給力指標(国内生産のみでどれだけの食料を最大限生産可能かを試算した指標)は、米・小麦中心の作付けが1759キロカロリー(前年度1761キロカロリー)、いも類中心の作付けが2500キロカロリー(同2562キロカロリー)。前年度と同様にいも類中心の作付けでは推定エネルギー必要量(2168キロカロリー)を上回るが、米・小麦中心の作付けでは下回っている。