価格安定へ鶏肉輸出検討へ 日本食鳥協会が研究会を立ち上げ
(一社)日本食鳥協会(芳賀仁会長)は8月2日、東京都千代田区の同協会会議室で国産鶏肉輸出研究会を開き、鶏肉の輸出に関心を持つ会員22社が出席した。
同協会は平成24年度事業計画の重点課題『国産鶏肉価格安定対策の推進』の中で、「国産鶏肉の消費拡大の大規模な普及啓蒙活動、低需要部位(むね肉、ささみなど)の利用促進、輸出の取り組みなどの検討とモデル的な実施を推進する」ことにしていた。
冒頭、芳賀会長が「日本の農業の中でトップクラスの生産性の合理化を図り、近代化してきたブロイラー産業が日本にとどまらず、海外に打って出る。日本貿易振興機構からの支援の話もあったため、皆さんに説明し、今後どのような取り組みができるのか検討していきたい」などと開催趣旨を説明した。
西塚修吾専務理事が輸出先候補国の1つとして韓国を挙げ、「韓国には博多港から釜山港へフェリー(保冷車)で輸送できるメリットがあり、距離的には九州から大阪に出荷するのと変わらない。生肉だけでなく、加工品の輸出も視野に入れる。
他の国も有望なところは同時並行的に取り組み、もみじなどを輸出しているルートに、むね肉を上乗せするなどの手法も考える」などと説明した。
(独)日本貿易振興機構(ジェトロ)の河野真樹子氏は、農林水産物・食品業界等海外販路開拓支援事業の概要を紹介。同事業は業界団体がビジネス展開を目指す地域への輸出を支援するもので、ジェトロが持つ世界約70か所の海外事務所が輸出に向けたPRや商談、マッチングをサポートする。支援期間は最大3年で、同事業への応募には最低5社の参画が必要とのこと。
鶏肉輸出でのジェトロの支援策としては、(1)1年目は有識者や輸出アドバイザーなどの講師を呼んで輸出先候補国の鶏肉市場についての勉強会を開く(2)2年目は輸出先候補国にミッションを派遣し、現地バイヤーとの商談、試食会、視察などを行なう(3)3年目は前年に商談したバイヤーらを日本に招聘して産地を訪問。日本の鶏肉製品への理解を促進し、再度商談を行なう――などの案を示した。
出席した各社からは「国内の鶏肉需給が緩んでいる時に輸出する方法があるなら勉強したい」「日本のチキンを、USビーフやオージービーフのようにブランド化して輸出する仕組みができればすばらしい」「国内で余っている商品を海外市場に出すという考えだけでは、おそらく販売は続かない。国際的に競争力があるかどうかなどを模索しなくてはいけない」「将来的には輸出が需給調整機能の1つになってほしい」「10年ほど前のむね肉輸出問題検討委員会での議論も参考にしてはどうか。実際のビジネスは個々の会員企業が行なうため、マーケティング面からも検討を加えてほしい」などの意見が出された。同協会では今後も研究会を継続し、国産鶏肉の輸出実現に向けて検討していく。