10年目の「食育交流事業」 住田フーズとプライフーズで 岩手県チキン協同組合
地域のチキン産業に親しんでもらおうと、岩手県チキン協同組合(理事長=小山征男㈱オヤマ社長、会員10社)が小学生を対象に続けてきた『食育交流事業』が10年目を迎えた。
今年の同事業は住田フーズ㈱(加納雄三社長)と、プライフーズ㈱(大江正彦社長)が担当し、安全・安心でおいしい『岩手のチキン』をPR。当日の様子は岩手日報でも特集される。
住田フーズの農場と工場で学ぶ
8月31日は住田町立有住小学校(都沢宏典校長)の5年生10人と教員らが、町内にある住田フーズ㈱の山谷農場と本社工場を訪ねた。
白衣に着替えた子どもたちは、衛生面を万全にしたうえでウインドレス鶏舎内を見学。温度・湿度・飼料・水などの管理を自動化したシステム鶏舎で1室につき2万羽、計8万羽の鶏が飼われていることや、同農場は年間5回転であること、約30日齢または約48日齢で出荷することなどの説明を受けた。
見学後は管理棟に移り、前日生まれたヒヨコ20羽との『ふれあいタイム』へ。おっかなびっくりの子もいたが、次第に慣れて「かわいい」「暖かい」。大はしゃぎの子からは「持って帰りたい!」との声も聞かれた。
住田フーズ本社では、米本秀史常務が「岩手県のチキン生産量は全国3位。宮崎県、鹿児島県との3県で日本全体の60%を生産しています。チキンには疲れをとる栄養分がたくさん含まれるので、しっかり食べて元気に勉強や運動をしてください」とあいさつ。吉田順管理課長は、同社で働く人は269人で、毎日2万8000羽を処理していることを説明。
次に向かった工場内で学んだのは、解体、カット、異物混入チェックなどの各工程では人と機械の両方の力が必要ということ。遠藤正工場長による解体実演もあり、子どもたちは鶏1羽からむね、もも、ささみ、手羽先、手羽元などが切り取られる様子を食い入るように見学。同社の人気商品で、住田町の特産品でもある『鶏ハラミ』(腹壁の筋肉)についても説明を受けた。
子どもたちは遠藤工場長からの「食べられないところはほんの少し。命のあったものだから大切に食べてね」とのメッセージを受け、試食会では『もも肉のから揚げ』『肩こにくの照り焼き』『鶏ハラミのネギ塩焼き』を同社スタッフや教員らが驚くほどよく食べた。
プライフーズ軽米工場での校外学習
9月4日は軽米町立晴山小学校の3、4年生28人がプライフーズ㈱軽米工場へ。同社の銘柄鶏肉『五穀味鶏』『め・ぐ・み・ど・り』の生産体制を楽しみながら学習した。
プライフーズが年間約3500万羽を出荷するうち、軽米工場が担う羽数は同500万羽。子どもたちはバスを降りると、丹波康信工場長が歓迎のあいさつ。生鳥受け入れの仕事について「まだ暑いのでカゴの中の羽数を減らしているよ」「あれはトラックスケールといってニワトリさんの体重計なんだ」などと紹介した。
工場内の休憩用和室で、大江正彦社長が「今日は皆さんを大歓迎するので楽しく見学してください。私たちは卵から雛をかえして育て、それを処理し、皆さんも知っているお店を通じて各家庭に届けています。別の工場ではから揚げやチキンウインナー、サラダチキンなども作っていますし、実は、皆さんも大好きなケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の原料も供給しているんですよ。そしてKFCのお店自体も運営していて、岩手、青森、秋田の各県に計30店ほどをもっています。1つの会社でこれだけのことをやっているのがプライフーズの〝自慢〟です。安全・安心でおいしい鶏肉をお届けするために、みんなで毎日頑張っています」とあいさつ。
会社紹介のDVD上映の後は、白衣に着替えて工場見学へ。スタッフからは「帽子から髪がはみ出ないようにね」「ポケットの中は空っぽにしよう」と教えられ、十分に時間をかけて手洗いをして解体室に入った。
子どもたちは同社(ゴーデックスカンパニー)が輸入・販売するゴーデックス社製の解体システムや、作業者の鮮やかなナイフ捌きなどを熱心に見学。プライフーズ側からは「みんなが解体を一から学べるように」との配慮で、手さばきによる丸どりの解体実演も披露された。各製品が梱包室に送られ、金属探知機を通過して箱詰めされる様子もしっかりと見た。
小3女子の1人は「工場見学は楽しくて、全然怖くなかったよ」。小4男子からは「ニワトリがどんどん肉になるのを見て驚いた。これからも残さずに食べたい」との感想も。
再び和室に戻ると、生産製造本部の矢元淳一生産部長や高崎亨製造部長、生産部CS管理室の兼坂浩和室長、鶏肉生産者の松倉和幸農場長らによる〝特別授業〟が開かれ、ヒヨコの孵化から鶏肉・加工品として出荷されるまでの各段階が分かりやすい言葉で紹介された。
当日学んだことをクイズ形式で問う『工場からちょっと質問タイム』では、①種鶏場に届けられるヒヨコはどこから来ている?(答え=岡山県)②卵からヒヨコがかえるまで何日かかる?(21日)③工場へ出荷できる体重は?(約3キロ)――などのやりとりを楽しんだ。
試食会では『め・ぐ・み・ど・り』のチキンウインナーやサラダチキンなどを味わい、お待ちかねの『ひよことのふれあい』では、当日ふ化したばかりのヒヨコの可愛さが子どもたちを夢中にさせた。
晴山小に戻っての『ふれあい給食』には大江社長ら役職員も参加。同小の工藤健三校長はプライフーズに感謝した上で子どもたちに語りかけ、「チキンはこの地区のとても大切な産業です。皆さんもいっぱい食べて健康な体をつくりましょう」とのメッセージを送った。
続いて大江社長が「皆さんの喜ぶ顔が見れて、私たちも大変うれしかった。見学してみて『面白い仕事だな』と思った人は、ぜひプライフーズに就職してください(笑い)。私たちは、国産の鶏を育てる仕事は岩手県にとっても、日本にとっても大事な仕事だと思って一生懸命働いています。今日はありがとうございました」と笑顔で話した。
子どもたちがタンドリーチキンの給食を食べ終わると、プライフーズからのサプライズとしてKFCの商品券が贈られ、和やかな雰囲気のまま食育交流事業を終えた。
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今年も、岩手県チキン協同組合は10月29日の「岩手とり肉の日」に合わせ、県内の学校給食の食材として約県産チキンを提供する予定。