新型コロナのガイドライン公表 感染者発生時の対応と事業継続 中畜や日鶏協
(公社)中央畜産会は5月14日に「畜産事業者における新型コロナウイルス感染防止、感染者が発生した時の対応と事業継続に関する基本的なガイドライン」を公表した。
このガイドラインは、畜産事業者(畜産農家のほか集出荷、家畜取引、運送等の関連事業に従事している者を含む)に新型コロナウイルス感染者の患者が発生した時に、生産団体・関連団体・保健所と連携して家畜飼養と畜産物の集出荷の継続と安定供給の観点から、業務継続を図る際の基本的なポイントをまとめたもの。(一社)日本養鶏協会も19日にほぼ同じ内容のガイドラインを「日鶏協回覧板」としてホームページで公表した。
新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路は飛沫感染と接触感染と考えられている。令和2年4月1日現在、食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染した事例の報告はなく、製造、流通、調理、販売などの各段階で、食品取扱者の体調管理やこまめな手洗い、アルコールなどによる手指の消毒、咳エチケットなど、通常の食中毒予防のための一般的な衛生管理が実施されていれば心配する必要はないとされている。
日本では、ホテルや飲食店(外食含む)、学校給食の休業や訪日外国人の減少で、売り先を失った畜産物の問題は起きたが、畜産事業者や従業員が新型コロナに感染し、生産の継続や処理・流通が混乱したケースはあまりなかった。米国やブラジルなど諸外国では、従業員の感染などで停止状況となった食肉処理場や食鳥処理場も出て混乱もみられた。
政府は、新型コロナの感染拡大を受け、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて4月7日に「緊急事態宣言」を発令、その後順次解除され、5月25日にはすべての都道府県が解除となった。解除後も新型コロナウイルスの感染リスクは残っており、政府は「第2波は必ず来る」と警戒の継続を呼びかけ、感染が広がれば再度の緊急事態宣言の発令もあるとしている。中央畜産会や日鶏協の示すガイドラインを基に、各事業者が諸外国の事例(本紙5月15日6面「新型コロナ 米国畜産業界の感染者発生時の対応」、6月5日号6面「新型コロナウイルス対応 米国と英国の鶏卵生産者が報告」)なども参考に、工夫を加えてを進化させていくことが重要である。
「畜産事業者における新型コロナウイルス感染防止、感染者が発生した時の対応と事業継続に関する基本的なガイドライン」の概要は次号に掲載の予定。