改正食品衛生法 年度内に政省令を制定

製造従事者50人未満 簡易型HACCP対象に

厚生労働省は、6月に公布した「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令案を、今年度内(来年3月まで)にまとめる方向で作業を進めている。同政省令では、6月の法改正で定められた「HACCPに基づく衛生管理」を義務付ける事業者と、簡易型の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を適用する事業者などを定める。営業許可制度も見直し、食品製造・調理加工関連業者を「要許可業種」と「要届出業種」「届出対象外」の3つに分けることにしている。改正法では、農産物の「採取」は対象外としているが、今後は農産物採取と製造・加工・販売が一体となったものが、政省令でどのように線引きされるかにも注目が集まってくるとみられている。

厚生労働省は今年(平成30年)6月13日に公布した「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令案の検討状況に関する説明会を、11月29日から12月18日にかけて全国7都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)で順次開いた。

説明会では、改正概要の①広域的な食中毒事案への対策強化②HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化③特別の注意を必要とする成分などを含む食品による健康被害情報の収集④国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備⑤営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設⑥食品リコール情報の報告制度の創設⑦その他――の7項目の内容を説明。施行期日は公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める(ただし①は1年以内、⑤と⑥は3年以内)とした。

この中で、原則としてすべての食品事業者に衛生管理計画の作成を義務付ける〝HACCPに沿った衛生管理の制度化〟のうち、コーデックスのHACCP7原則に基づいた「HACCPに基づく衛生管理」の対象事業者は、事業規模などを考慮して省令で定めるが、と畜場や食鳥処理場(認定小規模処理場を除く)は対象になる。

取り扱う食品の特性に応じて取り組む「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(簡易型)の対象事業者は、1事業所で食品の製造・加工に従事する者の総数が50人未満の小規模事業者や、当該店舗での小売り販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者(菓子や豆腐の製造販売、食肉や魚介類の販売)、提供する食品の種類が多くて変更頻度が煩雑な業種(飲食店や給食施設、総菜や弁当の製造)、一般衛生管理の対応で可能な業種(包装食品の販売や食品の保管・運搬など)を想定し、各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行なう。本紙関係の食鳥処理場の手引書は日本食鳥協会、鶏卵選別包装施設と自動割卵装置で割卵し液卵を製造する施設の手引書は日本卵業協会が事務局となって作成中。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象事業者であっても、段階的に「HACCPに基づく衛生管理」や、「対EU・対米国輸出などに向けた衛生管理(HACCP+α)」にステップアップしていくことは可能。

また、現行の営業許可制度は食中毒のリスクなどから見直し、製造業や調理業、加工を伴う販売業などを「要許可業種」、温度管理などが必要な包装食品の販売業や保管業などを「要届出業種」、常温で保存可能な包装食品のみの販売業を「届出対象外」の3つに分けることにしている。