全農、トン約800円値下げ 10~12月期配合飼料

穀物主原料の値下がりで

今年に入って3期連続で値上げされていた配合飼料価格が、10~12月期にようやく値下がりすることになった。中国の知的財産の侵害が改善されないとして、米国のトランプ政権が課した制裁関税に端を発した米中貿易紛争が、穀物価格にまで影響したことなどが主な要因となっている。

JA全農とホクレンは9月21日、10~12月期の配合飼料価格について、トウモロコシや大豆かす価格の値下がりやなどを踏まえ、前期に比べ全国全畜種総平均でトン当たり約800円値下げすると発表した。商系や専門農協系も値下げを発表した。全農が発表した飼料情勢の概要は次の通り。

▽飼料穀物=トウモロコシのシカゴ定期は、6月には390セント/ブッシェル前後で推移していたが、その後は受粉に適した天候が続いたことや、8月10日発表の米国農務省需給見通しで、史上最高の単収見通しとなったことなどから下落し、現在は360セント/ブッシェル前後で推移している。今後は、新穀の豊作が期待されるものの、南米産の生産量減少により米国産の輸出需要の増加が予想されることなどから、相場は現行水準で推移するものと見込まれる。

▽大豆かす=大豆かすのシカゴ定期は、6月には380ドル/トン前後で推移していたが、米中間の貿易摩擦により米国からの大豆輸出が大幅に減少する見通しであること、8月10日発表の米国農務省需給見通しで、米国産大豆の期末在庫率が大幅に改善されたことなどから下落し、現在は340ドル/トン前後で推移している。国内大豆かす価格は、シカゴ定期の下落により、値下がりが見込まれる。

▽海上運賃=米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、5月には45ドル/トン前後で推移していたが、その後は中国向けの石炭輸送需要が増加したことや、原油相場が堅調に推移していることから上昇し、現在は50ドル/トン前後で推移している。今後は、中国向けの石炭の荷動きが引き続き好調であること、北米産新穀輸出が本格化することから、海上運賃は堅調に推移するものと見込まれる。

▽外国為替=6月中旬には1ドル=110円前後で推移していたが、米国で追加利上げ観測が高まったことなどから、現在は111円前後となっている。今後は、米国の利上げ動向と経済政策などを材料に、一進一退の相場展開が見込まれる。

商系配飼メーカーも値下げ

10~12月期の配合飼料価格について、商系配合飼料メーカー大手の中部飼料と日清丸紅飼料は26日、フィード・ワンは27日に値下げすると発表した。各社とも値下げ幅を公表していないが、改定額は地域別、畜種別、銘柄別に異なるとしている。