ブレグジット後も卵の関税維持へ 英国BEICなど歓迎
英国鶏卵産業協会(BEIC)と、動物愛護団体のコンパッション・イン・ワールド・ファーミング(CIWF)、王立動物虐待防止協会(RSPCA)は5月22日、同国に輸入される卵や鶏卵加工品の関税を、ブレグジット後も維持するとの政府の決定を「歓迎する」とのコメントを発表した。
英国では、EU離脱後の輸入関税の取り扱いが大きな課題となり、卵については一時、完全に撤廃する方針が出されていた。特に安価な外国産の鶏卵加工品の輸入量が急増する可能性が出たことから、産業の崩壊を危惧したBEICは、政府に撤回を陳情。同協会のマーク・ウィリアムズ事務局長は、昨秋の国際鶏卵委員会(IEC)コペンハーゲン会議で「我々は2012年に従来型ケージを壊さねばならなかったのに、従来型ケージで生産された鶏卵加工品を輸入するのは、私には犯罪的に思える」(本紙2019年12月5日号)と報告していた。
英国政府が新たに発表したブレグジット後の関税率は、適用する通貨がユーロからポンドになるほか、タリフラインの簡素化を図るため、わずかに変動するが、卵はほぼ現行通り(孵化用を除く家きんの殻付き生鮮卵は100キロ当たり30.40ユーロから25.00ポンドへ。報道による関税率計算では31%から29%相当へと2ポイント減少)。加工卵の関税率も現行水準を維持している。家きん肉の関税率も維持される見通し。政府が必要と判断した農産品のほか、自動車の関税も維持される。同国の農民組合なども、陳情が聞き入れられたことに相次いで歓迎の意を示している。
BEICは、輸入卵の阻止については現実的に利害が一致する動物愛護団体と協力し、ロビー活動を粘り強く展開。関税の維持に成功したが、続いて協議される米国などとの二国間協議で、関税が無効化される可能性があるため、ウィリアムズ事務局長は「我々はまだ楽観視していない。議会での関税法案の審議の動向を注視していくとともに、米国などとの二国間貿易交渉でも、これらの関税が削減または撤廃されないよう取り組んでいく」とコメントしている。新関税率は、来年1月1日から適用される予定。