小学生と11年目の「食育交流」 岩手県チキン協同組合
岩手県チキン協同組合(十文字保雄理事長、会員10社)は9月10日と24日に小学生が対象の『食育交流事業』を実施した。11年目の今年は㈱アマタケと㈱十文字チキンカンパニーの両社が、チキン産業の大切さを知ってもらうために見学会や試食会を開き、学校給食にも役員と社員が参加して交流した。当日の様子は地元の岩手日報で特集され、県民にPRされる。
アマタケ本社工場で『南部どり』を学ぶ
9月10日は大船渡市立大船渡小学校の5年生23人が、同じ市内にある㈱アマタケ(甘竹秀企社長)の本社工場に向かった。
児童は村上守弘専務から歓迎のあいさつを受け、同社の仕事内容や、一貫生産する銘柄鶏肉『南部どり』についてまとめたビデオを見て学習。普段から食べ慣れているチキンだが、その育て方やさばき方については知らなかった子がほとんどで、視聴後のQ&Aコーナーは予定時間を超えるほど多くの質問が寄せられた。
お待ちかねの工場見学では、全員が清潔な白衣とキャップを着用して入場。手洗いの仕方からしっかりと学び、「工場内で走らない」「機械や肉には触れない」といったルールを守り見学。大勢の人がチキンの加工と出荷に携わる姿や、食鳥処理システムを真剣に見つめた。
南部どりのサラダチキンと、チキンナゲットの試食も好評。その後の学校給食には村上専務や、岩手県チキン協同組合の茂木善治常務理事らが参加し、チキンへの感謝を込めて「いただきます!」。
ほとんどの子が南部どりの南蛮漬けを残さずに食べ、教室からは「南蛮漬けもおいしいね」「チキン料理がもっと好きになった」との声も。
茂木常務は「アマタケさんでの経験が、チキン産業に親しみを持つきっかけになればと思う。本県からは年間1億1000万羽以上が県内外に出荷されている上、会員企業は各社とも非常に元気。まだまだ伸びる産業であることも多くの人に知ってもらいたい」と話していた。
十文字チキンカンパニー久慈工場で学習
24日は久慈市立小久慈小学校の3年生45人が、㈱十文字チキンカンパニー(十文字保雄社長)の久慈工場へ。1日当たり処理羽数で全国1位(同社調べ、約10万5000羽/日)の大規模工場で、チキン産業のスケールの大きさも体感した。
児童らは2年前に完成した『増設新工場』で、春日信人工場長や菅原達也管理課長、平沢ファーム(委託農場)の下館豪紀農場長らから、チキンの生産・販売についての説明を受けた。このうち、12棟の鶏舎で13万羽前後を肥育する下館農場長からは、清潔な農場でヒヨコを受け入れていること、様々な病気を防いで元気なトリに育ってもらうためにワクチンを水に混ぜて飲ませていることなどを学んだ。
その後は子ども用のユニフォームに着替え、食鳥処理や冷蔵・冷凍工程を見学。室温マイナス20度C設定の保管庫では、思わず「寒すぎる!」との声も上がったが、同社スタッフが「しっかりと凍らせることで、解凍後もチキンのおいしさが保たれるのですよ」と理由を説明した。また、久慈工場で保護者や親族が働いている子には特別に面会・記念撮影タイムが設けられた。
試食品としてむね肉のから揚げが供され、あっという間に完食。小腹を満たした45人は、難しい問題も出される『クイズ・トリキング』(2択形式)に挑戦。全9問を通じて、種卵を21日間温めるとヒヨコが生まれることや、久慈市から東京都までの出荷は高速道路で10時間前後かかることなど、チキン産業の情報に触れた。
学習後は本社(二戸市)での会議を終えた十文字社長も駆け付け、ランチタイムへ。十文字社長は小学3年生にも伝わる言葉を選び、「皆さんが見た久慈工場は、日本で一番大きなチキンの工場です。そんな工場が、学校のすぐそばにあるのですよ。そして岩手県には、十文字チキンカンパニーのほかにも、トリの会社が9社あって、全国で3番目にチキンをたくさん作っています。ではなぜ、岩手ではたくさんのチキンが作られていると思う? それはトリを上手に飼える人や、包丁や機械を使って、すごく良い肉を作れる人が多いから。この先、久慈工場や、岩手県のチキンはますます増えていきますが、皆さんが大人になるころ、何人かには農場や工場のお手伝いをしていただければありがたいと思っています」と、にこやかにメッセージを送った。
約10万人分のチキンを提供
岩手県チキン協同組合は10月29日の「岩手とり肉の日」に合わせ、県内の学校給食の食材として児童、教職員分合わせて約10万人分の県産チキンを提供する予定。