飼料情勢や畜産クラスターを勉強 全鶏会議9月セミナー
全国養鶏経営者会議(略称・全鶏会議、会長=梅原正一㈱菜の花エッグ社長)は9月25日、東京都港区のAP浜松町で平成27年度9月セミナーを開いた。
冒頭あいさつした梅原正一会長は「本日は昨年から話題になっている畜産クラスターや『パグマ』の紹介、飼料セミナーもあるため、朝から夕方まで1日勉強したいと考えている。積極的に意見交換してほしい」などと述べた。
飼料セミナーでは、兼松㈱穀物部主原料課の尾上翔太氏が飼料主原料の最新動向について説明。トウモロコシのシカゴ相場の見通しでは、作付面積減少などの強材料と、他産地の供給余力(南米・ウクライナ)などの弱材料を挙げ、「米国産の豊作確定により、弱材料は出尽くし、今後は総じて強い展開が予想される。供給面では上昇圧力が強まる可能性が高いと考えられる。需要面でも強材料が多く、さらに南米の新穀の天候相場が本格化する中では、下値は370セント/ブッシェルが良いところではないか。昨年と同様に9月に最安値をつけ、その後は年内一杯は上昇を続ける展開が予想される」と述べた。
他産地の状況については、①ブラジルは米国産に対する価格競争力があるため、スペイン、ポルトガル、アフリカからの引き合いが多い②ウクライナは昨年に比べて減産の予定で、その分は輸出量の減少で調整される見込み③アルゼンチンは16/17年度でトウモロコシの大幅減産を予定している。大型船に積むコストがかかる中では、日本向けの競争力は少ない――とした。
㈱ゼンケイの高杉庄太郎取締役営業部長は配合飼料の設計について説明した。
情報提供では、㈱丸山製作所の丸山和也執行役員人事部長と生井高広営業部長が「省エネルギー方有機性廃棄物処理装置『パグマ』」を紹介した。
『パグマ』は食品残さや畜産系有機性処理物を熱分解して減容させる装置で、①特殊技術により50%以上の高含水有機性廃棄物を熱分解できる。ヒーターや水分調整剤を使用することで、90%以上の含水有機性廃棄物の熱分解も可能②脱臭装置によって臭いを最大限カットする③化石燃料を使わず、最大200分の1まで処理物を減容する(鶏糞は60分の1~100分の1で含水率によって異なる)④熱分解(約70~300度C)で処理し、酸素の供給量を抑えることで、ダイオキシン類の発生を抑制する⑤使用する場所や用途に合わせて、大きさやオプションを自由に選べる⑥シンプルなデザインで置く場所を選ばない――などの特長を持つ。特殊水槽、特殊脱臭装置、特殊ヒーター、三層構造の特殊処理層の4つの独自技術はすべて特許出願済み。
養鶏場への導入実績は12か所で、導入決定済みが15か所、内定済みが8か所(いずれも国内)。現在は生産体制の強化を進めているとのことで、生井部長は「話を聞いただけでは理解できない部分も多いと思う。一番良いのは実際に動いている装置を見てもらうことで、わが社の工場では装置をできるだけ動かしている」などと述べた。
畜産クラスターセミナーでは、農林水産省生産局畜産部畜産企画課の岡本琢二畜産専門官が「畜産クラスターについて」と題し、各畜種での取り組み事例や、平成28年度予算概算要求で350億円を要求している畜産収益力強化対策(機械リースの畜産収益力強化支援事業が175億円、施設整備の畜産競争力整備事業が175億円)の概要などを説明。畜産クラスターへの取り組みの流れは①畜産クラスター協議会の立ち上げ②畜産クラスター計画の作成③畜産クラスター計画の都道府県知事認定④国庫補助事業等の活用――で、「機械リースは26年度補正予算で3倍くらいの要望があり、施設整備は26年度補正予算で1.5倍、27年度当初予算で2倍の要望があった。我々としては、この事業を1年、2年ではなく、長く皆さんに使ってほしいと思っている」などと述べた。
また(農)宮澤農産の宮澤哲雄代表理事、神奈川中央養鶏農協の安藤正昭氏、㈲タカハシ養鶏場の高橋光正社長、㈲鈴木養鶏場の鈴木智久社長が畜産クラスターへの取り組み事例を紹介し、「畜産クラスターを立ち上げるのが大変だった」「出先の行政機関との連携が大事である」「機械の見積もりやレイアウトなど、時間がかかるものはあらかじめ作成してもらうほうがよい」「計画の策定に当たっては、わが社の利益だけでなく、その事業が地域に対して貢献できるものであることを強調した」などの意見が出された。
このほか、出席した会員による情勢報告なども行なった。