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欧州、韓国で卵から殺虫剤 汚染卵は欧州16か国と香港にも 2017.08.25発行 欧州や韓国の養鶏場で生産された卵から、殺虫剤「フィプロニル」の成分が検出され、各国の現地メディアで大きく報じられている。 フィプロニルは、人が多量摂取すると腎臓や肝臓などに障害が起きる可能性があり、欧州連合(EU)では食品生産にかかわる全家畜に対し、フィプロニルの使用を禁止している。 欧州でフィプロニルが使われたのは、主にオランダとベルギーの農場。EU当局によるとドイツの4農場、フランスの1農場でも確認された。現地報道によると、オランダでは約180農場が出荷を停止し、数百万羽が殺処分を余儀なくされるとみられている。 欧州では鶏卵の輸出入が盛んなため、汚染卵は欧州16か国と香港にも広がり、主にオランダ産の汚染卵がドイツでは最大1000万卵、英国では同70万卵輸入され、フランスでも4月以降、約25万卵が販売されたと報じられている。現時点で健康被害は報告されていないが、欧州のスーパーマーケットでは、数百万の卵が店頭から回収されている。 原因については、EU食品飼料早期警報システム(RASFF)が7月20日に欧州委員会に通知し、8月11日にリリースした内容によると「(農場衛生管理などの)サービス会社が、主に採卵鶏の農場で、フィプロニルを含む物質をワクモ対策のため違法に使用した」としている。使用は長期間にわたっていた可能性があり、現地報道によると卵の汚染について、オランダ当局は昨年11月、ベルギー当局は今年6月に把握していたが、調査などのため公表していなかった。 前述のサービス会社の処理を今年1月以降受けていた農場は、すべて当局により出荷が停止された。司法当局の捜査も始まり、8月10日にはオランダとベルギーでサービス会社オーナーら2人が逮捕された。 隣国の韓国でも、基準値を超えるフィプロニルなどの成分が鶏卵から検出され、パック卵や卵を使った食品などが店頭から撤去されている。朝鮮日報によると、当局は8月15日から、国内の全養鶏場約1456農場の卵の出荷を差し止め、3日間の予定で調査を開始。数農場で基準値を超える薬品が検出されたという。 オランダの鶏卵産業は生産・輸出減を懸念 EUの出荷停止措置は、生産した卵や鶏肉の残留値がEU規制値を完全に下回り、衛生基準も満たしたと確認された時点で解除される。EUのフィプロニル残留基準は鶏卵・鶏肉とも1キログラム当たり0.005ミリグラム以下(検出限界値で、実質的にゼロ検出が求められている)。日本の規制値は0.02ミリグラム以下。EUの公的安全基準値は同0.72ミリグラム以下。今回の最大検出値はベルギーで同1.2ミリグラム、ドイツでは同0.45ミリグラム。 すでに流通している畜産物のリコール情報などはRASFFが随時提供するとのこと。畜産物を使った加工食品については、欧州委員会が「EUでは食品事業者が輸出品を含めEU基準の順守を担保する法的義務を負っている」とし、各企業による確認を求めている。 今回の問題で多くの農場が出荷停止措置を受けているオランダは、欧州随一の鶏卵輸出国として知られる。IECレポートによる2013年の鶏卵輸出量は、ドイツ向けを中心に約41万トン、鶏卵の国内自給率は308%。 現地報道によると、多くの輸入卵が流通しているスイスや香港でも汚染卵が見つかったことで、同国産鶏卵の需要が減退し、鶏卵生産量や輸出量が減ることを懸念する声も出てきている。 英独当局など「食品安全に問題ない」 卵からのフィプロニルの検出が報道された国々では、パック卵や鶏卵を使った食品を店頭から撤去する動きが相次ぎ、各国の当局は農場の検査などを進めているが、人の健康への影響について英国食品基準局(FSA)は、「公衆衛生のリスクとなる可能性は極めて低い」としている。 輸入汚染卵の用途についてFSAは「主にサンドイッチや総菜品など加工用に使われた」とし、加工時に多量の非汚染卵と混合されたことや、汚染卵が総消費量の0.007%にとどまることなどから、人の安全性の問題にはならないとしている。回収商品のリストを公開しているが、回収の理由については「食品安全に問題があるためではなく、フィプロニルの家畜への使用が禁止されているため」としている。 FSAのヘザー・ハンコック議長は、「入手可能な根拠に基づけば、人々は卵の購入や調理の方法を変える必要はない。ただし、フィプロニルは法的に食品生産に関わる家畜への使用が禁じられているもので、検出されることがあってはならない。新たな情報は随時公表する」とコメントしている。 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、フィプロニルで健康被害が起こると考えられる最小値を算出し、「ベルギーで検出されたフィプロニルを1.2ミリグラム/キログラム含んだ卵の場合でも、体重65キログラムの成人は24時間以内(あるいは一度)に7個、16.5キログラムの子供は1.7個食べても、あるいは体重10キログラムの子供が毎日1個ずつ食べても健康被害のガイドライン値を超えない。仮にこれらの摂取量を超えたとしても、必ず健康被害が出るものではない」としている。
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