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熊本地震 採卵鶏、ブロイラー農場に被害、鶏舎や内部設備の損壊も 2016.04.25発行 4月14日夜から最大震度7や6強の揺れが続いている「平成28年熊本地震」により、熊本県や大分県の養鶏産業にも被害が出ている。20日時点で地域全体の被害状況はまだ明らかではないが、鶏舎や設備機器などが壊れた採卵養鶏場やブロイラー農場があるほか、道路網の寸断や従業員の被災、販売先の休業などで、鶏卵や鶏肉、飼料などの流通にも影響が及んでいる。 震源に近い熊本県の採卵鶏農場では、一部を除いて鶏舎が倒壊したところがあるほか、鶏舎が無事でも内部のケージや給餌、給水、集卵設備などが損壊して再開のめどが立たない農場もあり、鶏の早期出荷や原卵出荷を余儀なくされる事態も起きている。被害が小さかった養鶏企業では、壊れた設備を自力で修理するなどして迅速な復旧を進めているが、熊本市内のスーパーなど取引先の休業により、生産物が出荷できない農場が出ている。 熊本県では、特徴ある鶏卵生産や直売に取り組む農場も多いが、これらの経営にも鶏舎や設備の破損、飼料配送の遅れなど様々な被害が出ており、「鶏舎は倒れていないものの、地震で破損し、余震でいつ崩れるか分からない」との声も。生産を継続している農場では、直売店でのイベントを休止し、ゆで卵を地域の被災者に無料配布しているところもあるほか、震源からは離れていたため被害が少なく、生産を継続している平飼い養鶏場では、「熊本市に近く温泉もあるので、被災者が多く、卵が午前中に売り切れてしまう」との声が聞かれている。 大分県では、鶏舎の倒壊などは熊本県より少ないものの、自動給餌器の破損や床面の割れ、水の出が悪くなったなどの被害が出ているほか、高速道路網の寸断による飼料の到着の遅れや、ひなが圧死したとの情報もあり、先々の生産への影響が懸念されている。 ブロイラー農場でも鶏舎が被害を受け、え付けできなくなっているほか、地鶏の生産者も被害を受けたとの報告も。熊本県の食鳥処理場では、従業員の被災により臨時休業したり、処理規模を縮小したりしたとのこと。 物流については、幹線道路の多くは徐々に通行できるようになっているが、20日時点ではまだ高速道路網が寸断し渋滞も起きているため、飼料供給に遅れが生じるなどの問題が出ているほか、販売面についても、熊本市内のコンビニなどは営業を徐々に再開しているものの、大分県別府市や湯布院など観光地への鶏卵の出荷が3分の1程度に縮小するなどの影響が出ている。 農林業センサスによる昨年2月1日現在の採卵鶏(ひな含む150羽以上、種鶏や愛玩用鶏除く)飼養経営体数は、熊本県が127軒、大分県が100軒。飼養羽数は熊本県が約216万羽、大分県が約121万羽。ブロイラー(年間出荷1000羽以上)飼養経営体数は、熊本県が63軒、大分県が45軒。出荷羽数は熊本県が約2451万羽(4.5回転として常時飼養羽数は約545万羽)、大分県が約516万羽(同約115万羽)となっている。 生乳や野菜、果物などにも被害 平成28年熊本地震は、依然として強い余震が続き、人命救助や被災者支援が最優先となっているため、農林水産業の被害状況はほとんど明らかになっていない。 熊本県が20日時点でまとめた被害概要によると、養鶏関係の報告はなく、畜舎の倒壊(28件)による家畜の圧死(83頭)や、乳業工場の被災による450〜500トン程度(推計)の生乳の廃棄が発生したとのこと。工場は順次復旧に向けて作業が進められているが、道路事情で集乳できない一部地域で廃棄乳の発生が続く可能性があるとしている。 このほか、野菜選果場の破損による出荷の遅れと深刻な人手不足、メロンやトマトの一部落下、イチゴ、花き、レンコン、ナス、バラのハウス施設の破損のほか、重油タンクの転倒なども報告されている。 今後は、畑作や水田稲作などにも深刻な影響を与えるのではないかと心配されている。 政府は4月末までに熊本地震を激甚災害に指定する意向で、災害復旧に取り組む地方財政の負担緩和へ特別助成する。
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