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ビークトリミング全面禁止を再延期へ 英国ユースティス大臣が決定

2015.12.15発行
 英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)のジョージ・ユースティス大臣は11月26日、来年1月からの実施が検討されていたビークトリミングの禁止について「延期すべき」とした『ビークトリミング・アクション・グループ』(BTAG)の勧告を「全面的に受け入れる」と回答した。これにより、英国では赤外線を使ったビークトリミングが来年以降も継続される見通しとなった。
 英国では2010年に、動物愛護団体などの要求を受けてビークトリミングの禁止を検討したが、鶏の羽つつき行動やカンニバリズムをコントロールする技術は確立していないため、2011年に暫定措置として熱刃ではなく赤外線レーザーを使ったビークトリミングであれば許可することにし、全面禁止の決定は2016年に延期した経緯がある。
 英国政府はその後、当局の担当者や養鶏学の専門家、養鶏業界・動物愛護団体・スーパーマーケットの関係者らによる『ビークトリミング・アクション・グループ』(委員26人)で約4年間にわたりビークトリミングの全面禁止に伴う課題を検討し、大臣が今年末までに同グループの答申を受けて、ビークトリミングの可否を再び判断することになっていた。
 同グループは、入手可能なあらゆる科学的研究成果を参照した結果、「赤外線ビークトリミングの禁止に伴うリスクは大きすぎる。深刻な羽つつきが起き、熱刃による緊急的なビークトリミングが必要になる可能性がある。これは家畜福祉にとってはるかに悪い結果となる」と結論づけ、禁止の延期などを勧告。
 ユースティス大臣は、これらの勧告をすべて受け入れるとした上で、「BTAGの報告書には、羽つつきの低減につながる管理技術も紹介されている。政府はこれらの技術が採卵養鶏業界全体に導入されることを期待している」と述べている。
 欧州では、すでにオーストリア、フィンランド、スウェーデン、デンマークがビークトリミングを禁止または自主的に廃止している。ドイツでは来年8月から禁止し、2017年以降はビークトリミングしたひなを飼養しないことで養鶏業界が政府と合意した。オランダは2017年の調査結果などをもとに、早ければ2018年9月からの廃止を検討している。一方、欧州でもカトリック系統の国々では許容される傾向があり、フランス、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、東欧諸国などでは、現在も熱刃によるビークトリミングが実施されている。



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