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鶏肉と卵のブランド化を促す 新品種・新技術でシンポジウム 農水省関東農政局と家畜改良センター 2014.03.25発行 農林水産省関東農政局と(独)家畜改良センターは3月5日、さいたま新都心合同庁舎2号館で養鶏をテーマに『新品種と新技術の普及・開発にかかわるシンポジウム』を開いた。 同農政局は2月の大雪で被災した関東地区(1都6県)と山梨、長野、静岡県を管轄することから、生産部の南嶋崇郎次長が出席した養鶏業者らにお見舞いの言葉を述べ、「各地で畜舎や堆肥舎が多大な被害を受けており、関東農政局も2月18日に対策本部を設置し、雪害の情報収集などに努めている。皆様が意欲的な経営を続けられるよう、本所とも連携しながら対応したい」とコメント。 さらに、畜産業者が国際競争力を高めるためには、新たな品種と技術や、外食店、小売店など実需者のニーズを捉えることが重要と指摘し、「畜産物のブランド化は生産者(産地)と実需者が協力しながら進めるべきで、本日は家畜改良センター岡崎、兵庫の両牧場長から鶏の育種改良について話していただき、各県の担当者には特産の地鶏肉などを紹介していただく。実需者側からは、ぐるなび、チムニー両社の意見をうかがえるため、本日がブランド力ある畜産物づくりの契機になれば」とした。 同局畜産課の犬塚明伸課長は、政府が進める『農林水産業・地域の活力創造プラン』の概要を説明し、農業者が直面する課題として(1)6次産業化の推進(2)オンリーワンの強みを持った農畜産物づくり(3)消費を喚起する新たな農畜産物の開発――を挙げ、オンリーワンの強みとして、各地の地鶏を活用した肉用鶏の開発を提案。新たな消費喚起については、一般卵よりも卵黄の割合が大きく、濃厚な味わいで卵かけご飯に向く『岡崎おうはん』の卵を紹介した。 『新たな日本の鶏(新品種・新銘柄)開発の可能性』について情報提供した家畜改良センター岡崎牧場の山本洋一場長は、消費者のグルメ志向を受け、昭和60年代に各県畜産試験場で始まった地鶏生産の歴史を紹介し、現在は約50銘柄が飼養され、年間約722万羽が出荷されていることを伝えた。 地鶏や銘柄鶏、国産鶏肉が輸入物との差別化を図るには、これまでになかった発想で新品種・新銘柄を開発することも必要だとし、「国内の食鳥産業は鶏の品種や交配様式、育種会社などの単一化・固定化が進んでいる。これを否定するわけではないが、もっとバラエティ豊かで、多様性があったほうが産業の裾野も広がる。多くの在来種は生産性の低さなどの課題も抱えるが、在来種の特長を残しつつ、生産性に優れた鶏種を開発したい」と述べ、同牧場が平成20年に開発して卵、肉ともに評価が高い純国産鶏『岡崎おうはん』の事例を引き合いに、卵肉兼用種のさらなる普及・開発に期待を寄せた。 また産肉性、増殖性に優れた品種を開発すべく、家畜改良センター兵庫、岡崎両牧場が保有する系統に限らず、各県や民間種鶏場が持つ系統との組み合わせにも意欲をみせた。 『地鶏と肉用国産鶏種の課題と、その対応方法』のテーマで講演した兵庫牧場の松本博紀場長は、兵庫牧場が開発した肉用国産鶏種『たつの』『はりま』や、地鶏・銘柄鶏生産をさらに振興するには「もう少し売れないと市場を活性化できないので、消費者には特長ある鶏肉が生産されていることを知っていただき、買ってもらうための工夫が不可欠」と強調した。 生産振興への具体策としては(1)新しい国産鶏種の創出(2)インターネットによる情報発信の強化(3)民間と都道府県、独立行政法人が連携した新たな取り組みの実施――を挙げ、新たな取り組みのアイデアとして「これからは複数県が協力し、新たなブランドを開発するのも手ではないか。生産販売の規模が大きくなれば合理化できる面も多いし、PRしやすいと思う。新ブランドと並行して既存の地鶏や銘柄鶏もしっかり売っていけば、“国産”全体のかさ上げにもつながる」「民間企業との取り組みでは、たとえば地鶏・銘柄鶏の関係者が集まって、ぐるなびさんと共に『こんなに良い鶏肉があるよ』と情報発信できれば効果的ではないか」などと提案した。 両牧場長の講演に続いて、各県の担当者が行なった5分間スピーチでは、つくばしゃも(茨城)、栃木しゃも(栃木)、上州地鶏(群馬)、タマシャモ(埼玉)、信州黄金シャモ(長野)、フジ小軍鶏(静岡)などの交配様式や飼育方法、味の特長をアピールした。 鶏肉と卵の実需者側からは、飲食店情報提供サイトや、“食”をキーワードとしてユーザーの幅広いニーズに応える各サイトを展開する(株)ぐるなび(本社・東京都千代田区)食材プロモーション部門第2営業グループの京極政宏グループ長、居酒屋チェーンの『はなの舞』『さかなや道場』『龍馬軍鶏農場』などを展開するチムニー(株)(本社・東京都墨田区)商品部の神之門良一部長が講演。外食店が求める食材についてそれぞれ話題提供した。 【農水省関東農政局と家畜改良センターが共催した養鶏シンポジウム】
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