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親鶏集荷の安全・安心の防疫体制 徹底した洗浄・高温殺菌・消毒 茨城・三和食鶏グループを訪ねて 2013.04.15発行 親鶏(成鶏)の集荷から処理・加工、さらには親鶏から発生するすべての製品化に取り組んでいる(株)三和食鶏(稲毛田国雄社長―茨城県古河市長左ェ門新田889、電0280・78・1129、ホームページ sanwa-ssg.com/)グループは、養鶏場との共存を目指し、特に親鶏集荷の『安全・安心』の防疫体制を確立していることで養鶏場からも高く評価されている。こうした取り組みを稲毛田英樹専務と倉持栄常務に取材した。 月間45〜50万羽処理 昭和48年に茨城県北西部の古河市(旧三和町)で親鶏の処理を目的に設立された三和食鶏は、昭和51年には、さらに加工度を高めるために、坂東市(旧猿島町)逆井に(株)三和食品を設立。その後も親鶏の集荷業務や顧客である養鶏場が依頼する業務を引き受ける(株)三和ファームサービス、羽毛や内臓を再利用するレンダリング工場のさしま食品加工協同組合((株)境食鳥と共同)、加工品の販売や国産・輸入ブロイラーを扱う(株)サンショクなどを次々と設立し、三和食鶏グループを形成。 現在は、グループ全体で、親鶏の月間処理羽数45〜50万羽、親正肉の販売が80トン、国産親鶏をじっくりと炊き出しながら作る新製品の国産丸鶏スープや、加工向けの各種ミンチ類が350トン、親キンカンや親ランソウなどの副産物が30トン、国産・輸入ブロイラーの扱いが200トンなど、親鶏から発生するすべてのものを製品化する体制を整えている。 三和食鶏グループの稲毛田社長は「わが社のモットーは、『養鶏産業と共に歩む』ことだ。親鶏の集荷・移動業務から、処理・加工・販売までの一貫した体制を整えている」と強調する。それだけに平成17年6月から翌年1月にかけて、茨城県と埼玉県で発生した低病原性鳥インフルエンザ(H5N2亜型)により約578万羽の鶏が殺処分された時はショックだったと振り返る。 「成鶏処理場のトラック、輸送カゴ、人などが鳥インフルエンザの汚染を拡大することになりかねない」と指摘され、茨城の処理場が一時出入り禁止となったほど。それまでも衛生対策に真剣に取り組んでいた三和食鶏は、鳥インフルエンザ以降は、養鶏場の信頼を得るために、親鶏の集荷業務における衛生対策にさらに力を入れ、年々改善を加えて現在の『安心・安全の防疫対策』の確立につながっている。 養鶏場に信頼される衛生対策を確立 三和食鶏の親鶏集荷の『安心・安全の防疫対策』の概要は次の通り。 親鶏の集荷は専用ラック(鶏舎構造によって一部コンテナも利用)を使用し、大型トラック12台、中型トラック5台で集荷している。作業員は毎日洗浄・オゾン殺菌した作業靴と洗濯した作業衣で作業する。 トラックの消毒は、集荷出発時、集荷帰社時、車両待機時の3回、消毒ゲート(ヨシダエルシス製SDGS型)を通るごとにパコマ消毒液(500倍希釈)で消毒する。 集荷してきたトラックは、車両消毒してから食鳥検査員が荷台の鶏の生体検査をし、問題がないことが確認されると懸鳥ホームに接車して荷台の集荷ラックを降ろし、鶏は懸鳥エレベーターで処理ラインへ流れていく。 親鶏を降ろしたトラックは、高圧洗浄機で荷台を徹底洗浄し、外回りも洗浄した後、さらに消毒液(パコマ500倍)を動噴で噴霧する。またトラック車内の運転席や助手席、足元をアルコール噴霧して消毒するほか、足元マットはマット専用の洗浄機で清掃する。 トラックが再び集荷に向かう時は、消毒ゲートを通って出発するが、待機する場合は、集荷トラックと交差しない約20台が駐車できる駐車場で待機する。 懸鳥終了後に空となった集荷ラックは、高圧動噴で卵の殻や羽毛を取り除いてから、ラック洗浄機(三和食鶏と石井製作所が共同製作)に投入する。この洗浄機は下部のコンベアでラックのタイヤをゆっくり押しながら洗浄するもので、特に死角であるラック上部と下部の床面を徹底洗浄するようにノズルの位置を調整している。 洗浄機から出てきたラックは、汚れの状態を確認しながら、さらに高圧洗浄機で仕上げ洗浄され、次の蒸気殺菌機に向かう。コンベアでタイヤをゆっくり押しながら上下左右のノズル18か所からスチームを噴射し、ラック全体を70秒間の蒸気殺菌。蒸気殺菌の中を通ったラックは、さらに、消毒液(パコマ500倍)が上下左右から散布される消毒機を通って出てくる。ラックのタイヤの消毒は、踏み込み槽(パコマ500倍)の中を転がして消毒する。 洗浄・殺菌済みラック(一部コンテナー)は、テント式の屋根と周囲をネットで囲う防鳥対策が施されたラックセンターで保管し、使用する時は、トラックに積み込む前にシャワーリング消毒(パコマ500倍)する。また長期間の保管時は、定期的に噴霧消毒する。 労働安全性を考慮して作業を自動化 二重、三重の方法で洗浄・消毒対策を徹底していることについ稲毛田専務と倉持常務は「養鶏場では鳥インフルエンザだけでなく、サルモネラやカンピロバクターなどの食中毒菌、ワクモなどの汚染原因の1つとして、処理場が持ち込む生鳥カゴなどの問題が指摘されている。これらのウイルスや病原菌、害虫はいずれも70〜75度C以上の高温に弱いため、徹底した洗浄・高温殺菌・消毒を行なえばよいことが分かっている。ただ、ラックの上下の洗浄は作業員の手が届きにくく、また高温作業や消毒薬の利用は、従業員の労働安全性の見地も考慮しなければならないため、できるだけ作業を自動化して安心・安全な現在の防疫体制ができ上がった」と強調。試験検査機関に依頼した消毒ラックのサルモネラ抜き取り検査でも、全く検出されていない状況が続いている。 こうした努力は取引先でも認められ、三和食鶏グループの衛生システムを実際に見学する養鶏場も増えているとのこと。 同社では「これからも仕入先である養鶏場、肉の販売先である加工メーカーの双方から信頼される、良い仕事、良い製品作りに取り組んでいきたい」としている。
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