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鶏卵、鶏肉の需給状況で情報交換 全国養鶏需給等連絡会議 2012.10.05発行 農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課は9月25日、東京・霞ヶ関の中央合同庁舎4号館で都道府県の鶏肉と鶏卵の担当者や業界関係団体の代表を招いて全国養鶏需給等連絡会議を開き、最近の需給状況あんどについて情報交換した。価格が低迷して厳しい状況が続いている鶏肉、鶏卵業界からは、業界の自助努力だけでは回復は困難だとし、輸入対策や価格対策など、行政の需給対策が必要だとの意見が出された。 食鳥産業への支援を要請 これまで年2回開催していた鶏肉と鶏卵の需給等連絡会議は、今年度から年1回となった。会議の冒頭、食肉鶏卵課の川原祐三課長補佐は、会議の開催経緯を説明するとともに、「今年は鶏肉、鶏卵とも価格が低迷し、なかなか難しい状況になっている。鶏肉は昨年の震災以降、輸入が増加し、国内の生産も回復したため在庫が積み上がり、消費は前年を上回っているものの、価格は上がらない。9月以降の輸入が減少し、今冬にかけて価格が上昇するのを期待している。 鶏卵も、今年は8月で価格差補てんの財源が枯渇し、補てんを打ち切らざるを得なくなっている。約52億円の鶏卵生産者経営安定対策事業のうち、8月までに価格差補てん事業で約40億円を使い、5月21日から8月21日までの成鶏更新・空舎延長事業に約7億円を使い、残りは約5億円となっている。これからの価格推移を見ながら、残りの使い道を検討しているところである」などとあいさつ。 農林水産省から鶏肉と鶏卵の需給関係資料について説明され、業界団体から最近の需給状況が報告された。 《鶏肉》 業界団体の代表らが最近の需給状況を報告し、(社)日本種鶏孵卵協会の林正司常務理事は、種鶏の導入計画に基づく今年のひなの需給状況について、「種鶏の導入は前年並みだが、種鶏の生産性が回復した結果、ひなの生産能力は多少過剰気味になっている」とした。 全農畜産総合対策部畜産販売課の高橋龍彦副審査役は、食鳥相場の低迷要因について、消費は食肉の中で最も伸びているが、国内生産の回復と、輸入の増加で在庫が積み上がり、国産は、余剰感が強まっても減産が困難なため、深刻な需給失調となっていると分析。鶏肉は、食肉の中で最も国際化が進み、同質のものが世界で作られているため、鮮度以外に国産品の差別化ができなくなりつつあることなどを指摘し、「市況回復は短期的にはなかなか難しい」とした。 そのうえで、牛、豚のような経営安定制度もないため、「仮に再生産ができないと、生産者はもとより、処理場で働く人や関係業者、地域の経済にも計り知れない事態を招くことになる。もはや食鳥業界の自助努力だけではカバーできない状況になりつつある」とし、国や県の協力による需給対策が必要だとした。 (一社)日本食鳥協会の西塚修悟専務理事も、食鳥相場はほぼ3年周期で乱高下し、今年はその中でも最安値の年となっていること。8月は業界で求める、もも・むね合計で800円を大幅に下回る699円にとどまっていること。相場低迷の大きな要因となっている鶏肉と加熱調製品の輸入についても昨年から増加し、「鶏肉の在庫は通常10万トン程度であるものが現在は15万トンを超えている」ことなどをデータで指摘。 市況の低迷から、国内のひなえ付けも「ここへ来て控え目になっている」とした。ただ、協会としては「組織として生産調整を呼びかけることはせず、各インテの自主性に任せている。これは、日本が生産を減らし、輸入を増やすとの誤ったメッセージを与えないため」と強調。さらに主な輸入先であるブラジルや米国でエサ高から生産減になる見通しが出されていることから、「輸入が減少し、需要も秋の行楽シーズンで高まる」ことに期待感を示した。 また、協会としても、食品加工や流通の各団体、会員に国産鶏肉の積極的な利用を呼びかけ、輸出の検討会を立ち上げていること、関係省庁に食鳥検査のPRや加工品への原産国表示の実施を求めていること、今年も10月に「国産チキンまつり」を実施するほか、地鶏・銘柄鶏の生産振興に取り組み、11月に地鶏生産のシンポジウムを行なうことなどを明らかにした。 さらに、鳥インフルエンザ、飼料用米、アニマルウェルフェア、生産コスト抑制、販売価格の安定、固定資産税などの税制改革、農地法や建築基準法の規制改革などへの取り組みが必要とされており、農水省も「国の食料政策の基本に立ち返って」食鳥産業の振興、価格の安定、輸入の抑制に取り組んでほしいと要請した。 日本食肉輸出入協会の岩間達夫専務理事は、今年の輸入量は前年を下回っているが、「8〜10月は為替状況が良いことと、エサ高による先高感から、今のうちに買っておこうと意向が働いたためか、輸入量は予想以上の約11万トンになる見込み」とし、その後は「ブラジル側も穀物価格の高騰を折り込んだ高い価格を言ってくるため、輸入が減少し、在庫も徐々に減って国内マーケットも締まってくるのではないか」との見通しを示した。 鶏卵需給は締まり気味に 《鶏卵》 (社)日本養鶏協会の島田英幸専務理事は、2卵価基金の吸収合併の進捗状況や、価格差補てん事業の財源が枯渇して補てんが打ち切りになったこと、成鶏更新・空舎延長事業は430万羽近い参加があったことを紹介したうえで、「厳しい卵価情勢に生産者は悲鳴を上げており、再生産が可能な一定レベルの価格に持っていくため、1月にも成鶏更新・空舎延長事業を発動することなど、引き続き行政の強力をお願いする」と要請した。 全農畜産総合対策部畜産販売課の高橋龍彦副審査役は、今年の鶏卵生産、消費、輸入の状況を振り返り、「今年は特売が多く、家庭消費は1人当たりで前年を上回っている。またコンビニの総菜やサンドイッチ向けのゆで卵の引き合いがあったものの、総じて消費動向や弱く、需給は良くない。価格的には平成21年(東京、大阪の年間M加重平均は175円)と同じような水準になるのではないか」とし、価格差補てん事業が8月に打ち切りになるのは前例がなく、生産者は厳しい経営環境下にあるとして、「現在は計画生産による需給調整から、自主的な判断による生産に変わっているが、養鶏生産者の自助努力だけでは限界があり、輸入対策や加工卵対策を含めた需給対策が必要」とした。 各地の需給状況を報告した(社)日本卵業協会の庄司幸男専務理事は、東日本については「今年の北海道は暑く、小玉が多く需要も低調であったが、9月に入って学校給食の再開、観光需要もあって需給は好転してきている。関東も暑さと強制換羽で需給がタイトになり、消費は外食の卵キャンペーンやおでんの仕込みが活発になって荷動きは良くなってきた。量販店も9月に入ってミックス卵の特売が活発化している」と、需給が締まって価格も上げ場面になってきているとの見方。 大阪や中四国は、やや供給が多いものの需給バランスが取れ、九州は成鶏更新・空舎延長事業の参加者が多く、やや供給不足気味だが、10月以降「生産過剰になることを懸念する声が出ている」とした。 東北、特に福島については「原子力発電所の事故により約100万羽の羽数が減ったままで、風評被害もあって、放射性物質の検査をしなければならない状況が続いている」とし、放射性物質に限らず、「サルモネラ問題を含め、卵の安全・安心に取り組んでいかなければならない」と強調した。 日本種鶏孵卵協会の林正司常務理事は「種鶏の導入は若干増えているが、ひなの需給はほぼ見合っている」とした。 各県からは、日本養鶏協会と2卵価基金の合併に伴う入会預かり金についての質問が多く、農水省は「各県の判断に任せている」と答えた。 【鶏肉と鶏卵の需給状況について情報交換した全国養鶏需給等連絡会議】
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