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安全な鶏卵生産へ「生産衛生管理ハンドブック」 農類焼 2012.06.25発行 農林水産省消費・安全局は6月12日、農場から食卓までの安全管理の徹底を通じ、鶏卵の安全性を向上させ、サルモネラなどの食中毒を防ぐために、効果が期待される対策のポイントをまとめた「鶏卵の生産衛生管理ハンドブック」を公表した。生産者編と指導者編に分け、採卵農場で衛生管理の取り組みがきちんとできているかどうかを確認できるチェックシートが付いている。 厚生労働省の食中毒発生年報によると、サルモネラ属菌による食中毒事件数は、平成21年67件、22年73件、23年67件と横ばいで推移しているが、患者数は21年1518人、22年2476人、23年3068人と増加し、23年には18年の1人以来となる死者3人(うち、卵が原因とみられるのは、宮崎県・8月の1人)も出ている。 農林水産省では、食中毒統計は、原因食品が特定されない事例が多いほか、患者が医療機関に診察・診断を受け、食品衛生法に基づいて届出があった件数に限られるため、実際には統計の数十倍から数百倍の発生件数があると推定している。卵に関するサルモネラ食中毒については、卵かけごはんやカツ丼、親子丼など、鶏卵や卵製品を使用した食品を原因とした発生があるとみている。 農水省が平成19年度に338採卵鶏農場、400鶏舎のサルモネラ(すべての血清型)の保有状況を調査した結果では、101のウインドレス鶏舎の場合49.5%(うち食中毒リスクの高いサルモネラ・エンテリティディス=SEは6.9%)、299の開放鶏舎では9.4%(同1.4%)の保有率。また市販の2030パック卵を調べたところ、卵内容物からサルモネラは検出されなかったが、5パックの卵殻表面からサルモネラが検出された(0.2%)。さらに21年度に、19年度の市販鶏卵調査で卵殻表面からサルモネラが検出された2農場、32鶏舎について検査したところ、約8割からサルモネラが検出された――としている。 このため、サルモネラ食中毒を防止するためには、農場、加工・流通、消費のそれぞれの段階で適切な取り組みが必要であるが、特に鶏卵を生産する農場で、日常の飼養衛生管理と効果が期待される対策のポイントを中心に『鶏卵の生産衛生管理ハンドブック』をまとめた。 生産者編では、いったん食中毒菌が農場や鶏舎に侵入すると、鶏への感染や感染の拡大を防ぐことは難しくなるため、(1)採卵鶏農場や採卵鶏舎内への侵入を防ぐ(2)採卵鶏舎内での感染の拡大を防ぐ――ことを第一の目的にしている。そのうえで、仮に食中毒菌が農場に侵入していることが分かった場合でも、適切な飼養衛生管理を継続すれば、農場内での感染拡大を防ぎ、農場から食中毒菌を排除できることも紹介している。 農場および施設の侵入防止のポイントでは、食中毒菌は、自ら農場や鶏舎に入ってくるわけではなく、野生動物や昆虫、飼料を運ぶ車や人の服、靴などに付いて、それらと一緒に農場に侵入するため、家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準に従って、衛生管理区域(鶏舎やその周辺の飼料タンク、飼料倉庫などを含む、特に衛生管理が必要な区域)とそれ以外の区域に分け、衛生管理区域の出入り口での車両や人の消毒、作業衣の着替えや作業靴の履き替えの徹底など、14項目にわたって対策を紹介している。 特にこの中では、これまでは否定的であったサルモネラワクチンについて、「サルモネラの血清型の中で、サルモネラ・エンテリティディス(SE)とサルモネラ・ティフィムリウム(ST)には、不活化ワクチンが販売されている。ワクチンだけで発生を完全に防ぐことはできないが、サルモネラ対策の1つとして不活化ワクチンの使用を検討して下さい」と、獣医師に相談し、用法、用量、使用上の注意を守った上での使用の検討を推奨している。 飼養衛生管理の実施では、採卵鶏農場においても、鶏舎ごとのオールイン・オールアウト方式が基本で、鶏群をオールアウトした後は、空舎期間に鶏舎や器具の消毒などの徹底が重要と指摘。そのうえで(1)鶏の導入前(2)鶏の導入(3)誘導換羽(4)日常の飼養衛生管理(5)鶏卵の採取(6)鶏舎の洗浄・消毒・乾燥――の各段階での対策を具体的に説明している。
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