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首都圏の鶏卵流通業者と情報交換 青森県養鶏協会

2011.11.15発行
 青森県養鶏協会会員と首都圏の鶏卵流通業者が青森と東京で毎年交互に開催している「たまごの生産・流通等に関する懇談会」が、今年は青森を会場に10月25日に市内のアラスカ会館で開かれた。
 地元青森県からは、県農林水産部畜産課の石郷喜廣課長、古川朋弘企画管理グループマネージャー、野上智弘主査、総合販売戦略課の津島正春課長、県養鶏協会の石澤善成会長、佐々木健、坂本佐兵衛両副会長、日本鶏卵生産者協会の山本彌一県副支部長のほか役員や会員、首都圏からは東京鶏卵事業協同組合の新海英一理事長、神谷岳行、天田勇夫両副理事長、(社)東京都卵業協会の椎名貞夫副会長、(株)大石商店の大石勝英会長、東京鶏卵(株)の工藤哲平営業部長、東洋キトクフーズ(株)の木内忍氏ら29人が出席した。
 会議の冒頭、石澤会長は「懇談会はこれまでに16回開かれ、青森会場は5回目となった。去る3月11日の東日本大震災では、特に原発事故が発生した福島県は畜産物などが大変な状態になったが、本県でも『青森の卵は大丈夫ですか』などの問い合わせも多く、また、八戸方面では鶏舎が倒壊するなど、大きな被害が出た。
 昔からニワトリは庭の鳥と称して、敷地内の庭で平飼いしていた中で、昭和17年ころから農耕用としての馬や牛、食用としての豚の必要性が高まってきたことなどから、国策として大家畜に力を入れていることは事実である。しかしながら、鳥インフルエンザや鶏卵価格などの諸対策をはじめ、安全・安心な鶏卵生産などの課題が山積している現在は、生産・流通関係者が一致団結して要望していくなどの政治活動も必要になっている。
 この懇談会を機に、さらに切磋琢磨していくことが重要である。本日はこれまでの実績も踏まえながら、お互いに率直な意見交換を行ない、有意義な懇談会にしたい」などとあいさつした。
 首都圏の鶏卵流通業者を代表して、東京鶏卵事業協同組合の新海理事長は、大震災へのお見舞いを述べるとともに、「本日は新幹線で来たが、全線開通で東京から青森に来やすくなった。途中、仙台で牛タン弁当を食べたが、先ごろ、焼肉屋から牛タンがなくなるという事態がみられた。なぜかと言うと、トリミングの前の熱処理や生食加工のための設備導入など、店では対応しきれないという。これを鶏卵に置き換えてみた時、生卵を食べる日本特有の食文化がなくなり、鶏卵の消費に影響することが大変怖い。東京の流通業者は、毛細血管のように隅々まで卵を運んでおり、消費者の批判も聞き産地におつなぎするし、逆もある。震災後、レストランなどを含めてお客様から西の卵はないの、と聞かれるが、『青森でも秋田でも持って来い』とユーザーから言われるくらい、安全性を発信していきたいので、青森の情報を大いに出していただきたい」などとした。
 石郷畜産課長は「青森県の卵を大量に扱っていただき、感謝申し上げる。卵価は、震災後一時的に生産量が減少して高値となったが、8月は167円、9月は183円と前年比5%安となったほか、飼料価格も高止まりの状況で、養鶏を取り巻く環境は厳しい。そのような中で、本県では平成17年から攻めの農林水産業に取り組んでおり、農畜産物の生産だけでなく、加工や流通などの分野も含めた6次産業化を推進している一方、鳥インフルエンザ対策としては、防鳥ネットの整備などを図っており、ますます足腰の強い養鶏産業になるよう期待している」などと述べた。
 懇談会では、東京鶏卵事業協同組合副理事長で(株)千葉鶏卵センターの神谷社長が最近の鶏卵情勢について「大震災後、一瞬卵が市場からなくなった。買い手市場の鶏卵が初めて売り手市場になった。少子化が進むと卵も全体的に消費が減少し、販売競争が激化する中で富士山麓に大農場が建設されるなど、養鶏業の規模拡大が進んでいる。
 輸入面で言えば、国産の流通量が250万トン、総消費量が260万トンの状況下で、10万トン程度の輸入が続く見込みである。鶏卵のネット販売も議論されるが、総体的には卵単体では難しく、例えば野菜とのセット販売であれば可能と思われる。鳥インフルエンザについては、感染すると鶏を殺処分しているが、これは他の農場への感染拡大を防ぐために行なっていることであり、このことを情報発信する必要がある」などと報告した。
 県の総合販売戦略課の津島課長からは、東京で青森の味を堪能できる店の紹介マップや、青森『ご当地ならではのうまいものたち』など、青森県が誇る料理と飲食店を含めて、県の総合販売戦略などが紹介された。
 意見交換では、出席者から「米たまごのほか、りんご卵などは生産できないか」「富士山麓の農場の話が出たが、(東京の)近場の生産が増えれば青森産の出荷は減るのか」「特色のあるたまご生産の観点からすると、ヨード卵以外は二番煎じの感がある。その辺を研究すべき」「ガソリンが1リットル約140円なのに、0.5リットルの水が100〜120円で売られている。おいしい水道水が1円くらいで飲めるのに消費者はペットボトルの水を買う。この辺りにヒントがあるのでは」「各々が卵を出荷しているが、県内の量をまとめて売り込む方法も考える必要があるのではないか」「一年中、卵の出荷が切れないようになれば仕事がしやすい」「低コストで鶏卵を生産するため、輸入飼料を減らして飼料用米+養鶏業で経営強化を」「青森県産品を活用した都内のマップを一般の人が入手できる仕組みを作ることが必要」など多くの意見が出された。
 【首都圏の鶏卵流通業者との懇談会であいさつする青森県養鶏協会の石澤善成会長】



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