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孵化途中卵検査装置「EVS400」 ヤマモトとナベルが共同開発 検卵の識別精度は99%以上 2011.07.25発行 (株)ナベル(南部邦男社長―本社・京都市南区西九条森本町86)と(株)ヤマモト(山本淳一社長―本社・京都府亀岡市保津町上火無66―2)は、世界で初めて腐敗卵と発育中止卵(後期)を除去できる孵化途中卵検査装置「EVS400」を共同開発し、8月1日から両社で販売を開始する。 ワクチンの卵内接種機の普及によって孵化場の現場では、接種前の検卵が重要な工程となっている。これまでの検卵機は、孵化途中の種卵に赤色レーザー光を当て、光の透過率の高低で検卵するため、透過率が高い無精卵は識別できても、正常な発育鶏卵と同様に透過率が低い腐敗卵や発育中止卵は識別が困難で、しかも識別精度は85〜90%が限度であった。このため、卵内接種機によるワクチンの無駄打ちだけでなく、特に腐敗卵は卵内接種時の交差汚染や、孵卵器内での爆発による汚染がひな質に悪影響を及ぼすため、識別精度の向上が大きな課題であった。 自動洗卵選別包装装置や非破壊鶏卵品質検査装置などの開発で培ってきた(株)ナベルの高い技術力と、孵卵器の販売や自社でブロイラーひなの生産・販売などを手がける(株)ヤマモトの孵化業務に関するノウハウを生かして両社は、2年前から腐敗卵や発育中止卵を識別できる検卵機の共同研究を進め、孵化途中卵検査装置「EVS400」を開発した。 両社が開発した検卵機は、孵化途中の種卵に特殊な光を当てて透過率を測定すると同時に、種卵が生きている証しである卵内の心拍や胚の動き(バイタルサインと命名)を検出し、正常な発育鶏卵と、腐敗卵や発育中止卵、無精卵を識別する。腐敗卵と発育中止卵には、心拍や胎動由来の受光量に変動がないため、世界で初めて識別できるようになり、識別精度は99%以上と飛躍的に向上した。 このほか、検査可能日齢の範囲が広いため、10日目以降の種卵の中間検卵が実施できる。それにより、種卵の受精率のデータをいち早く種鶏場にフィードバックすることが可能。また、種卵の識別では卵殻色の影響を受けないため、地鶏・レイヤーなどの鶏種を問わず識別できる。 「EVS400」のコントロールパネルには、正常な発育鶏卵は緑色、腐敗卵と発育中止卵は紫色、無精卵は黄色、種卵なしは白色で、集計の結果も表示される。腐敗卵、発育中止卵、無精卵に識別された卵は、吸引機によってトレイから取り除かれるが、吸引機で取れなかった場合は、アラームが鳴って機械が止まる仕組みになっている。吸引の際に卵内容物が機械の内部まで流れないように液溜め部分を設けているほか、簡単に取り外して水洗・消毒できる。 種卵が生きている証しの心拍や胚の動き(バイタルサイン)は、別置きのパソコン画面にリアルタイムに表示され、データを蓄積して分析することもできる。 開発の経緯について、(株)ナベルの南部邦男社長は「7〜8年前に、異常卵検出装置に孵化中止卵を置いたらどうなるのか、ということで、社内で実験したり、文献などを集めた。ただ、我々には孵化業務のノウハウがないため、孵化業者とのタイアップが必要だと痛感していたところ、2年前に(株)ヤマモトの山本専務から検卵機の共同開発の話をいただいた。お互いの会社が地理的に近いなど、いくつかの幸運と、両社の粘り強い研究姿勢が開発につながったものと思う」などと語った。 (株)ヤマモトの山本光夫専務は「卵内接種機を使用するうえで検卵機は欠かせないが、これまでの検卵機は、腐敗卵と後期の発育中止卵を識別できないため、そのまま卵内接種機を使うと、大腸菌などの雑菌の交差汚染につながり、ひなの品質が悪くなるなどの問題があった。今回我々が開発した検卵機は、腐敗卵も発育中止卵も識別でき、識別精度も99%以上である。私も様々なメーカーの機械を見てきたが、これほど精度の高い検卵機は、世界にも恐らくないと思う。この検卵機を国内はもとより、世界中に販売していきたい」などと、海外展開も視野に入れていることを明らかにした。 販売については、両社がそれぞれのチャネルを使い、海外展開については、日本国内での評価が安定した段階で始める予定。 「EVS400」の処理能力は1時間当たり4万卵、寸法は長さ2820ミリメートル×高さ2060ミリメートル×幅1000ミリメートルで、種卵のトレイの形状によって処理能力と寸法は異なるとのこと。また両社は、2件の特許を共同で出願している。 問い合わせは、(株)ナベル国内事業部営業2課の大橋豊昭氏(電075・693・5310、F075・693・5311)、または(株)ヤマモト生産部の山本剛史氏(電0771・25・1451、F0771・25・1453)へ。 【孵化途中卵検査装置「EVS400」(左)。種卵が生きている証しの心拍や胚の動き(バイタルサイン)を検出】
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