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より高めよう「国産の意義」 2002.01.05発行 21世紀最初の年となった昨年は、米国で歴史上例のない同時大規模テロが発生し、日本では初のBSE=狂牛病の発生と、まさに予期せぬ出来事に直面し、真に対応すべき多くの教訓を抱えての越年となった。 なかでもBSEについては、倒産やリストラに対する危機感のない官僚が、当然すべきことを、わざとしないで済ませた『不作為』によるものであり、牛の世界に消費減による大打撃を与えただけでなく、差別化によって生き残り策に懸命の努力を続けている国産畜産物全体の安全性にも大きな傷をつけ、さらに食べ物である鶏卵や鶏肉業界にも大迷惑をかけた。最近の食中毒や食の安全性への消費者の反応は、これまでは事が起きてから対応してもなんとかなったものの、新世紀は事が起こってからでは取り返しのつかないことを如実に示したわけである。まさに「危機管理」体制が行政はもとより、業界、企業においても強く問われる時である。 人畜共通の病気で、鶏と関係するものとしては、トリインフルエンザ(特に家きんペスト)が大きな問題になっている。中国や米国で高病原性のトリインフルエンザが発生し、鶏肉などの家きん製品の輸入が一時停止となった影響などで、国内の鶏肉業界はかつてない強い追い風を受けたが、仮に日本で発生するようなことがあると、狂牛病の二の舞になりかねないことは言うまでもない。鶏がばたばた死ぬことの被害もさることながら、消費者が鶏卵や鶏肉を食べなくなることによる影響の方が、より大きいことを肝に銘じて対策を確立すべきである。 このため、トリインフルエンザに限らず、サルモネラなどの食中毒対策、休薬飼育などの安全性への取り組みは、生産現場から食卓に至るまで、科学的にしっかりとした対策を確立して、その取り組みの内容を常に消費者に開示し、真に国産の鶏卵や鶏肉が安全であることを、より理解してもらう努力を続けなければならない。 わが国の農産物の自給率は40%と言われる中で、養鶏存立の立脚点もますます厳しくなっている。日本の高コスト体質をねらって、すでに海外は虎視眈々と日本市場にねらいを定め、生産拠点の再編整備と強化を着々と進めている。 わが国の養鶏産業には、依然として多くの課題が山積しているだけに、地道にその一つ一つを克服し、消費者との信頼に基づく安全・安心・新鮮な鶏卵・鶏肉を、よりニーズにあった形態と価格で提供できる取り組みの経営体のみが、生き残ることを忘れてはならない。
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