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「TPP11協定」大筋合意 鶏卵・鶏肉の関税撤廃 12か国TPPの範囲内

2017.11.25発行
 米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11か国による「TPP11協定」が大筋合意した。今後、協定に署名し、6か国以上の議会で承認が得られれば、発効する。発効は最短で2019年とみられている。

 11月10日に、ベトナムのダナンで行なわれた、米国を除くTPP署名11か国(オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)による環太平洋パートナーシップ閣僚会合で、「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(TPP結ヲ定)の大筋合意が確認された。
 農業分野の内容は、2016年に12か国で大筋合意した「TPP協定の範囲内のもの」との農林水産大臣談話が出ており、鶏卵と鶏肉の関税についても、現時点では明示されていないが、12か国のTPPと同水準になるとみられる。今年7月に大筋合意した日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の内容とも、ほぼ同水準となる。
 12か国のTPP合意では、最終的な関税撤廃を認めていた。個別の品目では、殻付卵(生鮮、冷蔵、冷凍品。現行関税率17%)は発効時20%削減し、6年据え置き後、7年目から段階的に引き下げ、13年目で撤廃。
 その他の殻付卵(同21.3%。ゆで卵やピータンなど)は段階的に引き下げ、11年目で撤廃。
 全卵粉(同21.3%)は発効時に50%削減し、6年据え置き後、7年目に25%引き下げ、13年目で撤廃。
 凍結全卵(同21.3%または1キログラム当たり51円の高い方)、凍結卵黄(同20%または1キログラム当たり48円の高い方)、卵黄粉(同18.8%)は段階的に引き下げ、6年目で撤廃。
 凍結卵白、卵白粉(同8.0%)は即時撤廃。
 鶏肉の関税は、丸どり(生鮮・冷蔵)、丸どり・骨付きもも以外(冷凍、同11.9%)は段階的に引き下げ、6年目で撤廃。
 丸どり(冷凍)、丸どり・骨付きもも以外(生鮮・冷蔵、同11.9%)は段階的に引き下げ、11年目で撤廃。
 骨付きもも(冷凍、生鮮・冷蔵、同8.5%)も同様に11年目で撤廃。
 鶏肉、家きん肉、七面鳥肉の調製品のうち、牛・豚の肉を含むもの(同21.3%)は段階的に引き下げ、11年目で撤廃。鶏肉調製品のうち牛・豚の肉を含むもの以外(同6%)は発効時に20%削減し、6年目で撤廃。家きん肉、七面鳥肉の調製品のうち牛・豚の肉を含むもの以外(同6%)は即時撤廃。
 このほか、鶏の肝臓(同3%)、七面鳥の肉および肝臓(同3%)、家きん肉(アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥の肉、同9.6%)、家きんの肝臓(アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、同3%)、家きんの脂肪(同6%)は即時撤廃――などとなっていた。
 農水省は大臣談話の中で「農林漁業者をはじめ、国民の不安を払しょくするため、合意内容などの説明を尽くすとともに、経営安定対策を講じていく」としている。

関連対策に注目 日EU・EPAとTPP11

 今年7月に大枠合意した日EU・EPAは年内にも最終合意の見通しが強まっているが、日EU・EPAとTPP11協定に関連した政府の国内対策の内容が注目されている。
 政府は、2015年11月に決定したTPP関連政策大綱を改定して、2017年度補正予算や18年度予算の中で具体策を決める見込みで、畜産対策ではチーズなどの乳製品や豚肉対策が中心になるとみられる。
 農水省のTPPやEPAの影響分析結果によると、鶏卵は、消費量265万トン(2016年度)のうち、輸入量は9万トン(3%)と少量で、そのほとんどはハムやソーセージなどのつなぎ原料となる卵白粉が主であることや、国産鶏卵の大半が新鮮な殻付卵の状態で流通しており、一定のすみ分けがみられるため、「影響は限定的」との評価。
 鶏肉も、2016年度の輸入量55万トンのうち、大部分(約9割)は協定に入っていないブラジルとタイが占めているため、「国産品との直接的な競合は限定的」との評価。
 ただ、関税削減・撤廃により、鶏卵については「長期的には、国産鶏卵の価格の下落も懸念されることから、これまでの実績の検証などを踏まえた上で、生産性向上などの体質強化対策が必要」とし、鶏肉についても「関税削減・撤廃による輸入相手国の変化などにより、長期的には国産鶏肉の価格下落も懸念される。養鶏は地域経済を支える重要な産業であり、生産性向上などの体質強化が必要」としている。ただ、養鶏に特化した対策はなく、他の畜種と共通の生産者支援策になるとみられている。



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