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系統のウイルス(H5N6)が国内に侵入

2017.02.15発行
3 農林水産省は1月30日、家きん疾病小委員会と「平成28年度冬季に発生した高病原性鳥インフルエンザ(AI)に係る疫学調査チーム」の第1回合同会合を開き、感染経路の究明に向けた検討を行なった。検討結果の概要は次の通り。

疫学調査の概要

 平成28年11月から29年1月にかけて、青森県、新潟県、北海道、宮崎県、熊本県、岐阜県において発生したAI(H5N6亜型)の事例について、発生直後に実施した発生農場およびその周辺環境、関係者からの聞き取りも含めた現地調査、分離されたウイルスの特徴、環境省で実施している野鳥の調査などに基づき、感染経路の究明に向けた検討を行なった。
 1、発生の概要
 (1)発生農場
 ・発生農場は、北海道から宮崎県と全国に分散している。いずれの農場も、農場のすぐ側または近隣に、カモ類などの野鳥が飛来する池や沼、川があり、この中には、現地調査の際に多くの野鳥が観察された池もあった。また、いずれの農場も、周辺に雑木林などがあり、野生動物の生息にも適した環境であった。
 ・いずれの農場も、野生動物の侵入防止対策などが実施されていたが、野生動物が侵入可能と考えられる箇所が確認された事例もあった。
 ・農場へのウイルスの侵入次期については、環境サンプルからのウイルスの分離状況などを分析し、検討を進めていくこととされた。
 (2)分離ウイルスの特徴
 ・わが国で確認されたウイルスは、遺伝子解析の結果から、韓国で確認されたウイルスと由来が同じであると考えられた。国内外での家きんや野鳥から検出されたH5N6亜型ウイルスとの遺伝子レベルでの比較により、平成28年度冬季には少なくとも3系統のウイルスが新たに国内に侵入したと考えられる。
 ・感染実験の結果から、異なる宿主から分離されたウイルスの間で、鶏への感染性に違いがあることが示された。
 2、ウイルスの侵入経路
 (1)国内への侵入経路
 ・渡り鳥などの野鳥による国内への具体的な侵入経路については、今後、野鳥や家きんから確認されたウイルスの特徴や、渡り鳥の渡りの時期などの情報を整理・分析の上、検討を進めていくこととされた。
 (2)家きん舎への侵入経路
 ・家きん舎への侵入経路については、一般的に、@家きんの動きA人・車両の動きB飼料・飲用水C野鳥を含む野生動物――によることが考えられるが、感染成立に必要なウイルス量の分析や、環境サンプルからのウイルスの分離状況などを分析し、検討を進めていくこととされた。
 3、今後の対応
 引き続き、分離ウイルスの性状分析(海外での分離ウイルスとの比較を含む)、発生農場の疫学調査(環境サンプルの検査、必要に応じて関係者へのさらなる聞き取り)などを実施しつつ、本病対策に活用できるような疫学調査報告書の作成を進めることとされた。作成に当たっては、その構成について検討を行ない、各項目ごとに執筆する担当委員を決め、来年度の早い時期のとりまとめ・公表に向け、作業をすすめることとされた。

AIの発生予防対策の強化・徹底

 平成28年度冬季における本病の発生事例を踏まえ、本病の発生予防対策の強化・徹底について検討を行なった。
 1、全国的に野鳥などでも本病ウイルスが確認されていることから、いつどこにおいても、本病が発生するおそれがあり、引き続き、日頃から異状の早期発見・早期通報も含めた厳重な警戒が必要である。
 2、野鳥、ネズミなどの野生動物対策の徹底が重要であり、小型の野生動物が家きん舎の外部から侵入し得る経路がないかといった点検に加え、野生動物を家きん舎近くに寄せ付けない対策も重要である。このため、家きん舎周辺の整理・整頓(家きん舎周辺に野生動物の隠れ場所となる物品は置かないことや、家きん舎周辺の草刈り)、さらには、周辺の樹木の枝が家きん舎まで伸びている場合にはそのせん定といった取り組みも効果的である。
 3、また、ウイルスが人や車両を介して農場内に、さらには、家きん舎内に持ち込まれることを防止する観点から、車両は農場の出入口で入念に消毒、家きん舎に入る者は、特に手指および長靴の消毒、家きん舎専用の衣服および長靴の使用を徹底する必要がある。また、消毒などの措置については、その実効性を高めるためにも、例外を作らない(どんな場合でも確実に実施する)、衣服や長靴の定期的な洗濯・洗浄、記帳により習慣づけるといった取り組みが重要である。

AI発生予防対策強化・徹底で通知 農林水産省

 農林水産省は2月1日付で各都道府県に対し、「高病原性鳥インフルエンザ発生予防対策の強化および徹底について」を通知した。
 家きん疾病小委員会と疫学調査チームの合同会合の検討結果を受け、引き続き、家きん飼養者への発生予防対策の助言・指導と、早期発見・早期通報の徹底を求めたもので、具体的な点検・確認事項を示す文書に加え、写真とイラストによる発生予防対策の重要ポイントなども添付している。



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