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「卵とコレステロール値」で最新研究 欧州糖尿病学会 卵を週12個食べてもコレステロール増えず 卵の摂取でHDL増加、LDL低下

2014.10.15発行
 “卵を食べるとコレステロールが高くなる”との誤解や思い込みを払しょくする研究成果が近年、数多く発表されている。オーストラリア・シドニー大学の研究者、ニコラス・フラー氏は今年9月、「糖尿病の患者に卵を1週間に12個、3か月間続けて摂取してもらったところ、コレステロールや中性脂肪などの血中濃度が、週に2個未満しか食べないグループと変わらなかった」との研究結果を発表した。日本でも、東海大学の大櫛陽一名誉教授(大櫛医学情報研究所所長)が、フラー氏の発表内容を評価、検証する目的で、新潟県で実施された大規模な疫学調査の結果を解析し直したところ、「体内の古いコレステロールを回収する『HDLコレステロール』の血中濃度は、卵の摂取量が多いほど高くなり、軽い炎症などで増えるLDLコレステロールは少なくなる」との結果を得た。卵への疑いを晴らす研究成果が、また2つ増えた格好だ。

 卵の摂取量と、2型糖尿病(インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れて発症する1型とは異なり、主に生活習慣をきっかけに発症する)患者の心臓病の発症率には、大規模な疫学調査などで相関がみられるため、日本の医療関係者の間でも「糖尿病患者では卵の摂取が心臓病のリスクになる」との見方がある。
 ただ、その因果関係ははっきり分かっていないため、フラー氏らは、糖尿病になりかけている「前糖尿病状態」の人や2型糖尿病の患者が、卵を多く食べた場合の健康への影響を調べ、研究成果を9月16日から19日までオーストリアの首都ウィーンで開かれた「第50回欧州糖尿病学会」で発表した。
 発表内容によるとフラー氏らは、前糖尿病状態と2型糖尿病の患者140人を、朝食に卵を2個、1週間のうち6日間食べる「高卵食群」72人と、週に2個未満しか食べない「低卵食群」68人の2グループに分け、3か月後にコレステロールや中性脂肪の血中濃度を検査した。低卵食群には、赤身の動物性たん白質などで高卵食群と同量のたん白質を摂取してもらったほか、摂取する主要な栄養素や熱量も同じにした。
 結果は、HDLコレステロールの値は高卵食群でわずかに増加がみられたものの、統計学的な有意差はなかった。「総コレステロール」や「LDLコレステロール」「中性脂肪」「血糖コントロール」にも有意差はみられなかった。また、高卵食群では空腹感が少なく、朝食後には満腹感が得られたことも報告された。なお、今回の研究結果は学会発表の段階で、論文にはなっていない。
 これらの結果についてフラー氏は「高卵食は、より大きな満腹感を与える可能性がある」「卵を多く食べても2型糖尿病患者のコレステロールや中性脂肪などの血中濃度に悪影響しないため、食事療法の一部に加えても安全だと示唆される」と述べている。
 この発表を受けて『100歳まで長生きできるコレステロール革命』などコレステロールに関する著書で知られる大櫛陽一東海大学名誉教授は、新潟県上越保健所管内の8万9159人を対象に1997〜99年に実施した疫学調査の結果を再解析。
 同研究では、これまで卵の摂取量とLDLコレステロールの血中濃度との関係のみを分析していたが、今回はHDLコレステロールも分析対象に加え、卵の摂取量の違いによってコレステロール値に統計学的な有意差が出るかどうかを調べた。
 調査対象者のうち、卵を全く食べない人は1221人(1.4%)、週に14個以上食べる人は314人(0.4%)、最も多い層は7個と3個食べる人(それぞれ23.9%と23.8%で約2万1000人ずつ)で、これらの人々の卵の摂取量と、血中のコレステロール値との相関関係を調べたところ、卵の摂取量が増えるほど、HDLコレステロール値は有意に高くなり、LDLコレステロール値は有意に少なくなっていた。
 卵の摂取量によってコレステロール値が変化する度合いを調べたところ、卵の摂取量が1個増えるごとに、HDLコレステロール値は0.257ずつ上昇し、LDLコレステロール値は1.186ずつ低下していた。
 大櫛氏らの最近の研究では「HDL=善玉」「LDL=悪玉」との図式は否定されつつあり、LDLコレステロールも体内で軽い炎症などが起きている時に、その部分の細胞を再生したりするために多く作られるなど、人体にとって必要な働きをしていることが分かってきている。従って、LDLコレステロール値が高い人は、体に炎症が起きているとも考えられる。
 さらに卵には、抗炎症作用を持つビオチンや卵白ペプチドも含まれているため、大櫛氏の研究では「卵を多く食べたことにより、体の炎症状態が改善し、コレステロールバランスが有意に良くなったと考えられる」と結論づけている。



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