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日生研が鶏大腸菌症対策用生ワクチン発売 全国3か所で養鶏セミナー

2013.07.25発行
 日生研(株)(長井伸也社長―本社・東京都青梅市新町9−2221−1)は、今年7月に鶏大腸菌症対策用生ワクチン『ガルエヌテクトCBL』を発売することから、同製品に関連した内容の“ナバック養鶏セミナー”を6月21日に鹿児島市、26日に岡山市、28日に盛岡市で開催し、3会場累計で約350人の養鶏・獣医関係者が参加した。
 セミナーでは、東京大学の笹川千尋名誉教授が「病原性大腸菌の病原性と自然免疫」、人と鳥の健康研究所の川崎武志獣医師が「鶏の大腸菌症という状態と予防のポイント」、(一財)日本生物科学研究所研究開発部の永野哲司主任研究員が「鶏大腸菌症生ワクチン『ガルエヌテクトCBL』について」講演した。
 冒頭あいさつした長井社長は、セミナー開催の経緯について「今年7月に鶏大腸菌症対策用生ワクチン『ガルエヌテクトCBL』を上市することになったため、大腸菌に造詣の深い2人の先生を講師に招いてセミナーを開催することになった」と説明し、各講師について「笹川先生は、獣医学界のみならず、医学界、薬学界を含めた、日本の細菌学界の権威者であり、本日は大腸菌の感染に対する宿主の免疫応用について、最先端の知見を披露していただける。川崎先生は、長く農場の生産現場で活躍され、鶏の衛生管理についての第一人者である。その長い臨床経験の中から、最近の鶏大腸菌症の発生状況と対策の要点を教えていただくことになっている。最後に、ワクチンの開発者である当社の永野主任研究員から、遺伝子組み換え体に属さないものとしては世界初となる鶏大腸菌症対策用生ワクチン『ガルエヌテクトCBL』の特長について説明したい」などと紹介した。
 笹川名誉教授は、病原性大腸菌は多様に分化・進化した菌群から成り立ち、その多様な病原性と宿主の免疫力との力関係によって感染・発症の重篤性が決定されるとして、(1)細菌の病原因子とその役割(2)細菌の病原性(毒力)と免疫力の相互関係(3)腸内細菌叢とそのかく乱(4)自然免疫の二面性(5)粘膜免疫と粘膜ワクチン(6)腸管外病原性大腸菌の病原性とは――について、国内外の最新の研究成果を紹介。鶏大腸菌症への対策として「免疫力低下の原因除去(ストレスの軽減、飼育環境の改善)、混合感染の阻止(ND、IB、ILT、MG&MS、IBD、CA、MDなど他の感染症対策を行なう)、抗生剤使用の低減(ミクロビオータ=腸内正常菌叢のかく乱による免疫力低下を抑える)、免疫力の増強(プロバイオティクス投与)、ワクチン投与」などが有効だとし、なかでも「粘膜ワクチンは局所と全身系の二段構えの免疫を誘導でき、生ワクチンは理想の粘膜ワクチンである」と指摘した。
 川崎獣医師は、大腸菌症は、大腸菌の感染に関連して起こる生体の異常の一つとされているが、どのような症状や病変を指すかは明確でないため、農場現場では異常の観察に当たって、より具体的かつ詳細に異常状態を記録しておくことが重要であると強調。また鶏の外的症状と解剖による病変例を示しながら、「敗血症、線維素性奨膜炎などの診断は、ある程度肉眼的、推定的に可能だが、大腸菌症と判断するのは意外と難しく、早く原因を特定し、早く対策を行なう必要がある」とした。
 対策のポイントとしては、(1)鶏の体が感染を受けやすい状態になっていないこと(鶏がストレスを受ける極端な温度変化はないか、鶏舎内の埃の状態、飲水や飼料が糞便で汚染されていないか、ひなが外傷を受けやすい状態になっていないか、気道・消化管の粘膜の機能低下や障害を起こしていないか、病原体に対する免疫力などを確認)(2)鶏の居住環境に病原体が蓄積しないこと(清掃や消毒を適切に行ない、衛生的な鶏舎環境を作る)(3)鶏の居住環境に病原体を持ち込まないこと(人、物、動物などにより、病原体が持ち込まれないようにすること。特にワクモ、ダニなども病原体を運ぶことに注意)――などとした。
 永野主任研究員は、(1)薬剤耐性菌に関するリスクの低減や出荷禁止期間のない飼育管理、突発的な飼育管理トラブルによる大腸菌症発生リスクの回避のために、疾病対策が『治療から予防へ』と変化していること(2)農水省の家畜衛生週報に掲載されたデータによると、農場での鶏大腸菌症の発生羽数と死廃羽数は年によって変化しているが、厚生労働省の食鳥検査では、大腸菌症による解体禁止や全廃棄羽数が増加傾向にあること――などを示し、鶏大腸菌症対策用生ワクチン『ガルエヌテクトCBL』は、鶏大腸菌症の予防に新たな解決策を提供できるとした。
 そのうえで、ワクチン株の特徴、免疫のコンセプト、噴霧と散霧の2回投与例、野外での試験結果などを紹介し、『ガルエヌテクトCBL』ワクチンは「農場での鶏大腸菌症の予防、生産性低下の軽減、食鳥検査での解体禁止や全廃棄数の低減、薬剤耐性菌リスクの回避」が期待できると強調した。
 岩田晃取締役も閉会のあいさつで「現在の養鶏産業で最も大きな問題となっている鶏大腸菌症に対し、『ガルエヌテクトCBL』が、農場における経済的被害の軽減・解消に寄与することを期待している」と述べ、詳細は日生研の担当者まで問い合わせてほしいとした。

『ガルエヌテクトCBL』の特徴

 昨年12月に製造販売承認を受けた『ガルエヌテクトCBL』は、鶏大腸菌血清型O78型に属するAESN1331株の生菌を主剤とした凍結乾燥製剤で、効能・効果は鶏大腸菌症の予防。
 ワクチン株は国内の鶏大腸菌症事例から分離された株から選別されたが、株の染色体DNA上にあって菌の代謝に重要な役割を担うサイクリックAMPレセプターたん白質遺伝子が部分的に欠損して弱毒化したもので、鶏に対する病原性が弱いだけでなく、菌の増殖能や代謝能が部分的に低下しているため、環境や鶏体内で短期間に消失するため、安全・安心で、鶏にやさしいのが特徴。遺伝子欠損変異株あるが、遺伝子組み換え体には該当しない。
 用法・用量は、ワクチンを日局の生理食塩液を用いて1000羽当たり100〜300ミリリットルに溶解し、3〜4週間隔で2回投与する。初回は噴霧器、2回目は噴霧器または散霧器を用いる。日齢制限や生産物の出荷制限がないためブロイラーだけでなく、採卵鶏や種鶏の大腸菌症予防にも利用できる。
 人に対する病原性はないが、使用に当たっては使用説明書に記載された注意事項を守って使用すること。



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