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被害農家は「仮払い」要求 東電は「指針」で対応へ 福島原発事故補償

2011.04.25発行
 農林水産省は4月18日、「東京電力福島原子力発電所事故に係る連絡会議」の初会合を開き、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県と、農林水産業や食品産業の95団体の代表者らが出席して、福島原発事故による農畜水産物の損害賠償について意見交換した。
 冒頭、筒井信隆農林水産副大臣は「福島原発事故によって農畜水産物も多大な被害を受け、農林漁業者は困窮している。出荷停止や出荷自粛した農畜水産物と、相当な因果関係のある風評被害について、東京電力に早急な賠償の仮払いを求めると同時に、それらの手続きを進めるための相談窓口を設置してほしい。
 原子力損害賠償法(原賠法)のスキームでは、2400億円までは東京電力が支払った賠償額について、政府が補てんする規定になっている。さらに2400億円を超えた分については、政府が補助・融資する形で支援することになっており、第一義的な責任は東京電力にあると考えている」とあいさつした。
 東京電力の廣瀬直己常務は「農林水産業や食品産業の方々に多大な影響を与えていることを深く認識している」と陳謝したうえで、今後の取り組みについて「原賠法に則って進めていくのが基本的な考え方であり、文部科学省に設置された原子力損害賠償紛争審査会で、できる限り具体的な指針を作っていただき、それに基づいて賠償に当たっていきたい」とし、相談窓口については「4月28日に福島原子力補償相談室(コールセンター)を設置し、避難住民向けの仮払補償金のほか、農畜水産物の賠償の申請も受け付ける」とした。
 農林水産省がまとめた資料によると、避難指示地域(20キロメートル圏内)に17戸・約63万羽、屋内退避地域(20〜30キロメートル圏内)に17戸・約126万羽、計34戸・約189万羽の鶏が飼養されているが、これらの養鶏場では鶏にエサを与えられず、多くは死亡したと考えられる。このほか、4月11日に計画的避難区域に指定された30キロメートル圏外の川俣町、飯舘村でも鶏が飼われており、養鶏関係にも甚大な影響を与えている。
 筒井副大臣は「出荷制限や出荷自粛よりも、風評被害の範囲などの指針の作成が遅れる可能性があるが、すでに損害は発生しており、被害者は東京電力に対して請求権を持っていると同時に、東京電力は損害賠償の義務を負っている。指針がいつ出されるかにかかわらず、ただちに賠償の仮払いを請求したい」と強調した。
 JAグループの考え方を説明した全国農業協同組合中央会(JA全中)の馬場利彦農業対策部長は、賠償の確定・支払いを迅速に行なうため、生産者の被害を県単位で取りまとめ、1か月単位で賠償を請求するとしたほか、「避難地域であったり、作付け制限によって営農すらできない方々については、農畜水産物の損害賠償ではなく、別の補償問題だと考えている」と述べた。
 出席者からは賠償の仮払いを求める声が相次いだが、東京電力の廣瀬常務は「審査会が作成する指針を拠り所として対応していきたい」と述べるにとどめた。
 福島県からは「原発事故の収束に6〜9か月との道筋が示されたが、農家にとって9か月は長すぎるため、前倒しで進めてほしい」、茨城県からは「東海村JCO臨界事故での損害賠償交渉で、特に農業関係では書類の不備などによって請求を取り下げざるを得なかった事例もあった。今回はそのようなことがないように対応してほしい」との意見が出された。
 福島県酪農業協同組合は「自己所有地への生乳の廃棄には限界があり、廃棄物処理業者に依頼すると、1か月で2億6300万円もかかるため、組織としても難しい。死亡牛の自己所有地への埋葬も、個人レベルでは限界がある。補償だけでは済まないことが現実的に起きていることを理解してほしい」と強く訴えたほか、「物流業者が福島県に入りたがらず、物流が機能しない状態が約3週間も続いた。会津・喜多方のタラの芽の市場価格は4パックで1円の値しか付かなかったし、昨年仕込んだ味噌や醤油の地方発送も10分の1になった」など、風評被害の実態も報告された。
 また、製粉協会は「小麦の輸入に影響が出ているわけではないが、高いフレートでなければ船を確保できないとか、一部の外国船籍は東日本への寄港を忌避していると聞いている」としたほか、日本飼料工業会も「外国船籍の寄港が難しく、単なるフレートの問題ではない。4月の船の手配はほぼ済んだが、その後については不透明。東日本には飼料基地が多く、我々も危機意識を持っており、西日本に広がらないかどうか危惧している。一番の問題はバラスト水で、日本で吸い上げたバラスト水を海外の港で排出した際に、放射能汚染水を撒き散らすおそれがあるのではないかと、外国船籍が危惧している」と説明し、政府の適切な対応を求めた。
【連絡会議であいさつする筒井農林水産副大臣】



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