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AI感染 依然続く
2011.03.05発行
昨年11月に島根県で感染が確認された高病原性鳥インフルエンザ(AI)は、今年1月以降も宮崎、鹿児島、大分から愛知、和歌山、三重、奈良の中部・近畿各県に広がり、依然として終息のめどが立っていない。 鹿児島県出水市に飛来したツルは北に帰り始めたと伝えられるが、仮にカモやハクチョウ、ツルなどの渡り鳥がいなくなっても、国内の留鳥や野鳥がAIウイルスに感染している可能性があり、いつ、養鶏場に侵入してくるか分からないため、安心できない状況が続いている。 今年1月以降の感染20事例のうち、14事例(宮崎1〜11例目、鹿児島、愛知1例目、大分)の移動制限は3月2日までに解除され、供給減によって西日本と九州を中心に混乱した鶏卵・肉の流通は、平常化に向かいつつある。ただ、移動制限区域に含まれた一部のブロイラー種鶏場や孵化場からのひなの供給面への影響は、しばらく続くとみられている。 地元紙の報道によると、鹿児島県は、出水市の採卵農場1例で、殺処分や移動制限による出荷遅延などの直接被害額を約4億円と試算(2月25日、南日本新聞)し、宮崎県は11例目までの発生で試算した被害額は約102億円にのぼるとしている(2月22日、宮崎日日新聞。内訳は、殺処分などによる養鶏場の直接的損失が約7億円、移動・搬出制限に伴う売り上げ減や生産経費の増加が約26億円、防疫措置や消毒ポイントの設置経費が約11億円、食鳥処理場の稼働停止などによる損失が約58億円)。実際に発生農場が経営を完全に再生させるには1〜3年が必要であり、GPセンターや食鳥処理場が失った商権や従業員の給料などを含めると、損失はさらに大きくなる。 AIウイルスの侵入防止に万全を期さなければならないが、完全に予防することは不可能。養鶏産業の被害を少なくするためには、国際基準に基づいた移動制限範囲の半径3kmへの縮小や、リアルタイムPCRを確定診断や移動制限区域内の検査に導入して卵などの移動制限解除を8時間以内に行なうこと、種鶏・孵化場についても経済的損失の少ない方法を認めること、AIワクチンの接種などの対策が急務となっている。
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