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万全な鳥インフルエンザ対策を 再発・混乱防止は官民一体で

2004.07.25発行
 高病原性鳥インフルエンザの発生は、わが国の養鶏産業に多大な被害と混乱をもたらし、多くの教訓も残した。
 発生は4例で、約27万5千羽とはいえ、発生元となった農場は二度と立ち直ることができなかっただけでなく、発生農場周辺も、風評被害などで予想をはるかに上回る損害を被り、日本全体にも悪影響を及ぼした。
 発生から終息に至る一連の悪夢を見た時、二度と再発などということがあってはいけないし、万一、再発しても、絶対に混乱は引き起こしてはならない、との想いは強い。
 そのためにも大事なことは、早期発見による摘発・淘汰、外部との接触の遮断によるバイオセキュリティの強化や消毒の徹底、海外からのウイルス侵入阻止はもちろんのこと、経済的損失を少なくするためのワクチン使用も含めて、あらゆる対策を緊急に確立することである。
 官と民が真に一体となって、鳥インフルエンザの防疫体制を確立すべきであるが、いまだに官民の足並みは揃っていない。これでよいのか、心配でならない。
 特に、高病原性鳥インフルエンザの防疫マニュアルや防疫指針の検討・作成において、畜産局内にあった衛生課が始めた14年8月当時から、現在の家きん疾病小委員会に至るまで、養鶏業界の代表者を参加させ、意見を聞く、との姿勢をとってこなかった。国、県、市町村が中心の対策で、養鶏業界はあくまで指導・取り締まりの対象と見ているようだ。
 現場を熟知しない官と学のみで作られた防疫マニュアルは、現実に鳥インフルエンザが発生した時、不幸をもたらせ、醜態をさらした。マニュアルに書かれていない多くの問題が発生して、末端で大混乱を引き起こしただけでなく、風評被害を加速させる結果ともなった。
 山口や京都で摘発・淘汰によって殺処分した鶏の埋却には多くの人手を要したし、場所の確保にも困難を伴ったが、このことは当初から指摘されていた。しかもその後、地下水汚染などの新たな環境問題の発生が指摘されたほか、大量の鶏と鶏ふんの処分をどうするのかは、今も尾を引いている。
 風評被害による消費の減退と価格の下落、移動制限などによって失った商権は、いまだ完全に回復どころか、失ったままのところもある。特に、今回の風評被害を冷静に考えると、日本では起こり得ないような「鳥インフルエンザが人に感染するかもしれない」との一部の学者やマスコミの煽りを、消費者が敏感に嗅ぎ取ったために起こったものである。ただし、風評被害によって、養鶏産業が被った莫大な損失については、誰も責任をとっていない。誠に無責任極まりない。
 とはいえ、ワクチン使用に対する考え方も大きく変わり、最近のOIE(国際獣疫事務局)などの報告は、ワクチンの重要性を強調するものが多くなっている。
 4月にアルゼンチンのブエノスアイレスで、50か国から約300人の科学者が参加したOIE会議でも、“動物感染症の根絶およびコントロールにおけるワクチン接種の重要性”が勧告され、「ワクチンは動物の衛生、公衆衛生、動物の福祉ならびに環境を保護すること、生物学的多様性を維持すること、および動物由来製品の消費者を保護することにより、農業の継続の可能性を向上させることに役立つ」と積極的に評価している。
 日本も生産者側が、再発防止と発生による経済的損失の減少、社会的混乱を招かないために、公的管理の下でのワクチン使用を強く要求している。ところが感染を完全に抑えない、ワクチン接種によって感染した鶏の発見が遅れ、ウイルスの根絶を難しくする、さらには科学的根拠が示されていないような、ウイルスが残って再発の元になり、ひいては人に感染するウイルスに変異する可能性がある――などの議論がまかり通って、ワクチンを悪者にしている。
 養鶏産業を守り、消費者に支持される安全・安心の鶏卵・鶏肉を安定供給することは、政府と業界に課せられた大切な使命である。農水省はまず、リスク評価をきちんと行ない、それを業界にも示した上で、官民が一体となった鳥インフルエンザ防疫対策を緊急に構築すべきである。



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