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鳥インフルエンザ緊急総合対策 家畜伝染病予防法改正へ 2004.03.25発行 政府は3月16日、高病原性鳥インフルエンザ対策の関係閣僚会議を開き、養鶏農家の早期通報義務や被害補償を盛り込んだ家畜伝染病予防法の改正、食鳥処理場で感染が疑われる鳥に対するスクリーニング検査の導入などの緊急総合対策を決めた。しかし、被害補償の割合や、移動制限区域外の支援策などが明記されていないことに、業界からは不満の声が出ている。 緊急総合対策は、(1)まん延防止対策の徹底(2)国民の食に対する不安を払拭するための措置(3)人への感染防止、国民の健康確保のための措置(4)早期通報促進と被害拡大防止のための法制度の整備(5)養鶏事業者・関連事業者対策(6)地方自治体に対する対応――の6項目からなる。 通報の義務化と、通報が遅れた場合の罰則強化、被害農家への助成を制度化した家畜伝染病予防法改正案を今国会に提出すると明記したが、補償割合には触れていない。業界では、山口から始まった移動制限区域の被害に対し、国は2分の1を補償しているが、これでは額は少なく、失った商権などの経済的損失をカバーできない、としている。 大分、熊本、京都、兵庫、大阪の移動制限区域内の被害農家には、鶏卵価値の減少、肉用鶏の出荷遅延などに要する経費の2分の1を助成することにして、15年度の予備費から1億479万円を支出する。 発生防止のための措置として、野鳥・ネズミなどの侵入防止、消毒の徹底などを求めているほか、養鶏業者にはウインドレス鶏舎などの整備を促進するため、補助事業やリース事業を活用した支援を行なうとしている。農水省では、農林漁業金融公庫資金(スーパーL資金)や農業近代化資金、畜産近代化リース事業(新規)を活用して、巻き上げカーテンなどによる鶏舎のセミウインドレス化や、新たに鶏舎を新設する場合には、畜産経営活性化事業(新規)を活用し、野鳥などと接触しないウインドレス鶏舎(カーテンで覆うものも含む)の整備に助成する(補助率2分の1)。 早期発見・早期通報を基本として、養鶏農家の報告の義務化を求めるほか、食鳥検査で鳥インフルエンザに感染している疑いのあった場合は、簡易検査キットを用いたスクリーニング検査を実施し、感染した鶏が処理されて流通しない体制を取ることにした。 発生した場合の防疫措置は防疫マニュアルに基づいて行なうことにし、関係機関や自治体の連携強化を図る。しかし、現実には山口、大分、京都のいずれも家畜伝染病予防法でまん延防止の観点から移動制限された鶏卵の滞留が大きな問題になった。総合対策では「問題ないと判断されたものの処理が円滑に進むよう、引き続き各都道府県に対し必要な指導を行なう」としているが、具体的な内容には触れていない。鶏卵や鶏肉は安全だと言いながら、家畜伝染病予防法では移動制限する現状は、消費者にはなかなか理解されない。鶏卵や鶏肉の流通をできるだけ止めず、しかも消費者の不安感を解消する方策を緊急に考えなければならない。 鳥インフルエンザワクチンについては、食品安全委員会の評価に委ねた内容となっている。感染経路については、農水省内に「感染経路究明チーム」を設置し、野鳥の生息調査などと合わせて究明を急ぐとしている。 養鶏農家や中小企業者への支援策としては、政府系金融機関などによる融資拡大を盛り込んだ。 このほか、人への感染に不安が広がっていることから、監視体制を強化し、人に感染が確認されれば、指定感染症にすることを検討する。
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