鶏卵輸出が伸び率トップ 2020年農林水産物・食品輸出

農林水産省は、2020年の農林水産物・食品の輸出実績をまとめた。それによると、輸出額は前年比102億円(1.1%)増の9223億円となり、8年連続で過去最高額を更新した。

このうち、農産物は6565億円で前年比11.7%増、林産物は381億円で同2.8%増、水産物は2277億円で同20.8%減であった。

輸出額の増加が大きい品目では、かつお・まぐろ類がベトナム向け冷凍ビンナガの増加で51億円増(203.9億円)、アルコール飲料が日本産ウイスキーの人気で49億円増(710.3億円)、牛乳・乳製品がベトナムでの育児用調整粉乳の人気で38億円増(222.13億円)、清涼飲料水が輸出上位国での需要増で38億円増(341.72億円)、鶏卵は香港やシンガポールを中心として家庭食向け用途が大幅に増加し24億円増(45.87億円)。

鶏卵の伸び率は、輸出額で約2.1倍増、輸出量も1万8090トンで約2.1倍増。伸び率は全品目中でも最高となっている。鶏卵の輸出が2年連続で高い伸び率を示したのは、新型コロナウイルスの影響で香港やシンガポールの国境が封鎖され、中国やタイからの輸入がストップしたことに加え、同ウイルスの流行前に日本を訪れた外国人旅行者が、日本で卵かけご飯や親子丼、ラーメンの半熟卵などを食べ、おいしく、衛生管理に優れた日本の卵を求めたためとみられる。

他の畜産物輸出額は、牛肉は288.74億円で2.7%減、鶏肉は20.63億円で6.3%増、豚肉は17.58億円で55.0%増など。

輸出産地をリスト化

農林水産省は2月16日、昨年11月に取りまとめた政府の輸出拡大実行戦略で27の重点品目を選んだが、そのうち23品目について輸出向けの生産を担う輸出産地リストを公表した。産地は今後、輸出事業計画を作り、計画が国の認定を受ければ優先的に補助・支援を受けられる。

鶏卵は、神奈川中央養鶏農業協同組合を中心とした産地(神奈川)、㈱パートナーズを中心とした産地(千葉)、㈱みさと農場を中心とした産地(群馬)、三栄鶏卵㈱GPセンターを中心とした産地(愛知)、フュージョン㈱を中心とした産地(宮崎)、(資)瀬底養鶏場を中心とした産地(沖縄)の6産地。

鶏肉は、日本ホワイトファーム㈱を中心とした産地(北海道)、ニイブロ㈱を中心とした産地(新潟)、丸トポートリー食品㈱を中心とした産地(愛知)、(農)福栄組合を中心とした産地(福岡)、宮崎くみあいチキンフーズ㈱川南食品工場・都城食品工場を中心とした産地(宮崎)、マルイ食品㈱野田工場を中心とした産地(同)、㈱ウェルファムフーズ霧島事業所を中心とした産地(鹿児島)の7産地。

マヨネーズ・ドレッシングは、キユーピー㈱(東京)、味の素㈱(同)、ケンコーマヨネーズ㈱(同)の3産地となっている。