鶏卵生産者経営安定対策事業は52億円に拡充 事業予算は新たに基金化

政府は12月20日の閣議で令和2年度予算案を決定した。養鶏関係予算のうち、鶏卵生産者経営安定対策事業は、需給調整の仕組みを強化するとともに、事業実施主体が新たに鶏卵の需給見通しを作成することを支援することにし、51億7400万円(前年度48億6200万円)に拡充した。

鶏卵・食鳥の流通合理化も支援

食肉鶏卵課関係の主な予算は次の通り。

鶏卵価格が低落した場合に価格差補てんを行なうとともに、さらに低落した場合、成鶏の更新に当たって長期の空舎期間を設けて需給改善を図る取り組みを支援し、鶏卵生産者の経営と、鶏卵価格の安定を図る「鶏卵生産者経営安定対策事業」は、新たに事業実施主体による鶏卵の需給需給見通し作成支援(定額補助)を図って51億7400万円(前年度48億6200万円)に拡充(平成23~28年度は各51億890万円だった)。

同事業は、令和2年度から新しい3か年の4期目となる。これまでは単年度ごとの予算であったが、1期3か年事業を考慮して、かつての卵価安定基金制度のように3か年の基金化とした。

『鶏卵価格差補てん事業』は、鶏卵の毎月の標準取引価格が補てん基準価格を下回った場合、経営規模にかかわらず、その差額の9割を補てんする(補てん基準価格と安定基準価格の差額が上限。加入に当たっては、成鶏更新・空舎延長事業への協力金が必要との要件は現行と同じ)。財源は積立金で、国が1、生産者が7(前年度までは3)の割合。

『成鶏更新・空舎延長事業』は、鶏卵の毎日の標準取引価格が安定基準価格を下回った場合、その下回る日の30日前から上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設ける取り組みに対する奨励金を交付するもの。交付する奨励金空舎期間が60~90日まではこれまでと同じ1羽210円(10万羽未満層はこれまでの1羽270円を310円に拡充)。新たに空舎期間を91~120日まで延長する場合は1羽420円(10万羽未満層は同620円)交付する。また、成鶏を処理する食鳥処理場に対する奨励金も現行は1羽23円から47円に増額する。財源の協力金積み立ては国が3、生産者が1。

新規の鶏卵需給見通し作成支援は事業実施主体への定額補助。

「食肉等の流通合理化に向けた施設整備への支援」は、安全で高品質な国産食肉等の供給体制を構築するため、流通・処理コストの低減や、製品の高付加価値化などに必要な食肉等流通処理施設(産地食肉センター、食鳥・鶏卵処理施設、家畜市場)の整備を支援するもの。補助率は3分の1以内(衛生管理施設、ハラール対応施設、動物福祉対応施設等は2分の1以内)で、上限額は20億円。〝強い農業・担い手づくり総合支援交付金〟200億2000万円(前年度230億2400万円)の内数。