鶏卵生産者経営安定対策事業は約52億円 令和4年度鶏卵予算案

価格差補てん、成鶏更新、需給見通しの3本柱

農林水産省は8月31日に令和4年度予算の概算要求をまとめた。このうち、3か年契約期間の3年目に当たる鶏卵生産者経営安定対策事業は、前年度と同額の51憶7400万円となった。

鶏卵生産者経営安定対策事業は、民間団体に事業を委託し、『鶏卵価格差補てん事業』と『成鶏更新・空舎延長事業』『鶏卵の需給見通しの作成』の3本柱で実施。

『鶏卵価格差補てん事業』は、鶏卵の毎月の標準取引価格が補てん基準価格下回った場合、その差額の9割を補てんするもの(補てん基準価格と安定基準価格の差額が上限)。事業の財源となる積立金は国が1、生産者が7の割合。参加は現行通り『成鶏更新・空舎延長事業』への協力金拠出が要件。

『成鶏更新・空舎延長事業』は、鶏卵の日ごとの標準取引価格が安定基準価格を下回った場合、その下回る日の30日前から、上回る前日までに、成鶏を出荷し、その後60日以上鶏舎を空ける取り組みにで支援するもの。財源となる協力金は国が3、生産者が1の割合。

『鶏卵需給見通し作成』は、需要に応じた鶏卵の生産・供給を推進するため、事業実施主体に定額補助して需給見通しを年2回作成する。

「食肉等の流通合理化に向けた施設整備への支援」は193億1000万円(前年度141億6400万円)の内数。安全で高品質な国産食肉などの供給体制を構築するため、流通・処理コストの低減や、製品の高付加価値化などに必要な食肉等流通処理施設(産地食肉センター、食鳥・鶏卵処理施設、家畜市場)の整備を支援するもの。補助率は3分の1以内。

「食肉生産流通多角化対策」は10億円(前年度と同額)。食肉の生産・流通の多角化のために必要な食肉処理施設と食鳥処理場における精肉等加工施設・設備と加工食品製造施設・設備の整備、輸出先国の需要・嗜好性調査、パイロット輸出等の取り組みを支援するとともに、国内外の食肉需給の将来的な見通しを調査する。施設整備の支援は都道府県を通じて2分の1以内。輸出品目拡大支援と食肉需給構造分析調査は民間に委託。

「品目団体輸出力強化支援事業」は新規で21億8500万円。輸出重点品目について、品目団体がオールジャパンとして行なう海外での新規販路開拓や、海外市場調査等の輸出力強化に向けた取り組みを支援する。事業は民間団体に委託。

「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設の整備」は11億円(前年度9億7000万円)。農林水産物・食品の輸出拡大を図るため、食品製造事業者等の施設の新設と改修、危機の整備を都道府県を通じて支援する。

「畜産生産力・生産体制強化対策事業」は16億6100万円(前年度8億8700万円)。肉用牛・乳用牛・豚・鶏の改良や、飼料作物の優良品種の利用を推進するとともに、肉用牛の生産力と生産体制の強化を図る。

「畜産GAP拡大推進加速化事業」は1億4000万円(前年度1億2000万円)。畜産の競争力強化を図る観点から、畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員等の育成、GAP認証取得、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の普及拡大等の取り組みを、都道府県や民間団体等を通じて支援する。

「飼料穀物備蓄対策事業」は17億5000万円(前年度と同額)。配合飼料製造事業者等が、不足の事態に備えて策定している事業継続計画(BCP)に基づいて実施する飼料穀物の備蓄、緊急運搬、関係者の連携体制の強化等の取り組みを支援することで配合飼料の安定供給を確保し、畜産経営の安定を図る。

「飼料流通合理化事業」は新規で2億500万円。飼料輸送に携わるトラックドライバーの人材確保や環境負荷軽減のために、飼料輸送の効率化・標準化に資する実証等の取り組みに対し支援を行ない、安定的な飼料輸送により畜産生産基盤を維持・強化し、国民への畜産物の安定供給を図る。

「畜産環境総合整備事業〈公共〉」は940億4500万円(前年度807億2500万円)。家畜排せつ物処理施設の機能強化等を都道府県等を通じて支援し、増頭のボトルネックとなる畜産環境問題の解決を推進することで、畜産の生産拡大を後押しする。

「畜産高品質堆肥生産流通促進支援事業」は新規で9400万円。持続的な畜産物生産に向けた取り組みの推進を図るため、家畜排せつ物処理に伴い発生する温室効果ガスの排出削減等に資する好気性強制発酵、化学肥料の低減に資する堆肥の高品質化やペレット化による広域流通のための畜産経営の理解醸成と高品質堆肥の生産技術の普及等を民間団体等を通じて促進し、畜産経営における環境負荷軽減の取り組みを後押ししする。