飼養衛生管理基準など諮問 改正家伝法

農水省改正へ 7月上旬目途に

農林水産省は4月9日に持ち回りによる食料・農業・農村政策審議会の家畜衛生部会を開き、今国会で成立し、4月3日に公布された改正「家畜伝染病予防法(略称・家伝法)」に基づき、①家畜伝染病と届出伝染病の名称変更のための政省令改正②特定家畜伝染病防疫指針の見直し③飼養衛生管理基準の改正④飼養衛生管理指導等指針の策定――について諮問。答申を得て7月上旬を目途に改正する。

家伝法の一部改正は、①2018年9月に26年ぶりに発生した豚熱(CSF)が依然として終息していないため、野生動物の感染対策を強化し、農場での飼養衛生管理を徹底して、家畜の伝染性疾病の発生予防とまん延防止を図る②アジア地域で急速に拡大しているアフリカ豚熱(ASF)をはじめとした悪性伝染性疾病(牛疫、牛肺疫、口蹄疫、CSF、ASF、高病原性・低病原性鳥インフルエンザ)のわが国への侵入脅威が一段と高まっているため、畜産物の輸出入検疫を強化して侵入防止を徹底する――ことがねらい。

「家畜伝染病と届出伝染病の名称変更のための政省令改正」では、8つの病名について、国際的な名称の使用実態や、法定伝染病の名称が社会に与える影響が大きいこと、日本獣医学会の提言などを踏まえて変更(家きんでは「ニューカツスル病」が「ニューカッスル病」、「家きんサルモネラ感染症」が「家きんサルモネラ症」)するが、これに合わせて家伝法の施行令や施行規則に規定する名称も変更する(6月中旬を目途)。

「特定家畜伝染病防疫指針の見直し」では、改正家伝法で新たに『関連事業者の責務の明確化』『都道府県知事の家畜の所有者に対する飼養衛生管理基準の順守についての緊急的な勧告・命令』『野生動物で悪性伝染性疾病の感染が確認された場合における発見場所等の消毒、通行制限、周辺農場等に対する移動制限』の規定が追加され、具体的な運用方法について各疾病の防疫指針に記載する必要があるため、家きんは家きん疾病小委員会、牛・豚などは牛豚等疾病小委員会で防疫指針の変更方針を議論し、併せて都道府県からの意見聴取、パブリックコメントの手続きを経て家畜衛生部会に報告・答申を得た後、速やかに防疫指針を改正する(7月上旬を目途)。

「飼養衛生管理基準の改正」では、改正家伝法で『衛生管理区域に入る者のみ、または汚染された畜舎、倉庫等から出る者のみに課されていた消毒義務について、どちらも出入りともに対象となるよう範囲の拡大』『家畜の所有者に対する飼養衛生管理者の選任義務』『まん延防止措置としての飼養衛生管理基準の順守に係る緊急的な勧告・命令の実施』などが規定されたため、全畜種の飼養衛生管理基準を見直す。家きんは家きん疾病小委員会、牛・豚・馬などは牛豚等疾病小委員会でそれぞれの衛生基準の改正内容を議論し、併せて都道府県からの意見聴取、パブリックコメントの手続きを経て家畜衛生部会に報告・答申を得た後、速やかに基準を改正する(7月上旬を目途)。

「飼養衛生管理指導等指針の策定について」では、改正家伝法で飼養衛生管理の指導等に係る指針を国が策定し、都道府県が計画を策定する制度を創設したことから、その内容について議論し、答申する。