農場衛生対策など強化 消費・安全局の31年度予算要求

薬剤耐性対策も拡充

消費・安全局予算の内、家畜衛生関連の主なものは次の通り。

「家畜衛生等総合対策」は53億3900万円(30年度55億300万円)。口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)などの発生予防・まん延防止対策を徹底するとともに、地域の家畜衛生を支える産業動物獣医師の育成・確保を図る獣医学生らに必要な支援を行なう。

「家畜伝染病予防費」は32億3100万円(30年度と同額)。都道府県が行なう家畜の伝染性疾病などの発生予防・まん延防止などの防疫措置の国の負担分の「家畜伝染病予防費負担金」と、家畜伝染病予防法の規定でと殺された家畜に対する手当金や、その死体の焼却などに要した費用の全部または一部を家畜等の所有者に交付する「患畜処理手当等交付金」。

「家畜生産農場衛生対策事業」は6億6800万円(30年度5億8800万円)。生産農場における飼養衛生管理の向上や、家畜の伝染性疾病の清浄化・発生予防に向け、農場指導、検査、ワクチン接種や淘汰などの取り組みを支援するとともに、HACCPの考え方を取り入れた家畜の飼養衛生管理(農場HACCP)への取り組みを強化し、わが国の畜産物の安全性の一層の向上と消費者の信頼を確保する。

「戦略的監視・診断体制整備推進事業委託費」は9000万円(30年度6900万円)。研究所・民間団体に委託し、①家畜伝染病検査・監視体制整備推進事業(拡充)②野生動物監視体制整備事業③家畜疾病診断信頼性向上緊急対策事業(拡充)――などを整備する。

「わが国のOIE認定施設活動支援事業」は1000万円(30年度と同額)。わが国の動物疾病診断・検査体制への信頼性向上のため、OIE認定施設の国際的な活動を支援するため、民間団体に定額援助する。

都道府県などが地域の実態を踏まえて実施する「家畜衛生の推進」は消費・安全対策交付金22億2100万円(30年度20億3800万円)に含まれる。ソフト面では、①監視体制の整備②危機管理体制の整備③家畜衛生対策による生産性向上の推進④畜産物の安全性向上⑤農場バイオセキュリティーの向上――に取り組む。ハード面では、家畜保健衛生所などに①高度バイオセキュリティー対応施設の整備②地域における車両消毒施設の整備③BSE検査対象死亡牛の一時保管施設の整備――などを支援する。

「動物検疫所の検疫事業費」は11億円(30年度9億4300万円)。海外からの家畜の伝染性疾病の侵入を防止するとともに、農畜産物の輸出促進に貢献すべく、動物検疫体制の充実強化を図る。

「薬剤耐性対策」は25億7700万円(30年度24億2400万円)の内数。民間団体や都道府県に委託し、畜産・水産・農業分野における薬剤耐性菌の監視・動向調査を強化し、抗菌剤の慎重な使用に関する研修を実施するとともに、ワクチンや代替薬等の開発などを支援する。

「生産資材安全確保対策事業委託費」は3億1600万円(30年度2億8300万円)。民間団体に委託し、生産資材の安全確保に向けた科学的データの収集分析、リスク管理措置の基礎となる試験法の開発などを推進する。

「動物医薬品検査所の検査事業費」は4億400万円(30年度3億1300万円)。動物用医薬品の品質、有効性および安全性の確保を通じ、動物の命を守り、食品の安全を確保して人の命を守る。

「動物用医薬品対策事業」は7000万円(30年度7800万円)。民間団体に委託し、有効・安全な動物用医薬品等の迅速承認、市場規模が小さい家畜や薬剤耐性対策に必要な動物用医薬品等の開発などを推進する。

「畜産物の安全の確保」は消費・安全対策交付金22億2100万円(30年度20億3800万円)の内数。都道府県での動物用医薬品のリスク管理機能の強化や、無獣医師地域対策など、地域の実情に即した獣医療提供体制の整備を支援する。