米国の食肉・食鳥処理場労働者のCOVID-19感染状況

(独)農畜産業振興機構の海外情報(7月31日)は、米国保健福祉省の疾病対策予防センター(CDC)がまとめた「食肉・食鳥処理場の労働者におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の状況:2020年4~5月」報告書を紹介している。

それによると、全米50州のうち28州から回答があり、うち食肉・食鳥処理場で少なくとも1件のCOVID-19発生が報告された23州の239施設で1万6233件の感染が確認され、86件(感染者の0.5%)が死亡した。

労働者の総数が報告された14州では、労働者の感染率は9.1%。施設当たりでの労働者の感染率は3.1~24.5%の範囲であった。

感染が報告された239施設のうち、14州の111施設から感染拡大・予防対策が報告された。その内容は次の通り。

①89施設(80%)で、処理場入場時に労働者の検温または症状でのスクリーニング(検査により疾患の罹患を疑われる、あるいは発症が予測される対象者をその集団から選別すること)を実施

②86施設(77%)で、感染源対策(マスク、フェイスシールド等により普遍的な顔面被覆)を実施

③72施設(65%)で、手指衛生設備の追加を実施

③70施設(63%)で、地域社会で感染があった地域の労働者に対し、教育を実施

④69施設(62%)で、労働者間にアクリル板などの物理的障壁を設置

⑤24施設(22%)で、衛生対策実施に係る一時的な処理場閉鎖を実施

米国では4~5月にかけて、食肉・食鳥処理場でのCOVID-19の拡大により、操業停止、一時休業などが行なわれ、処理場の稼働率の低下やレストランの休業などによる需給両面での混乱から、卸売価格が乱高下するなど混乱がみられたが、現在は峠を越え、沈静化したとみられる。