福島産の食材をPR ふくしまプライド。食材博

酒井毅社長㊧と小平和弘社長㊨は「ふくしまのおいしさを感じてほしい」

福島県(内堀雅雄知事)と県内の食品企業、農家、漁業者による『ふくしまプライド。食材博~旬の農林水産物・試食商談会~』が7月19日に東京都目黒区のウェスティンホテル東京で開催された。

これまでも県産食材の魅力や、それらが食卓に並ぶまでのストーリーを伝える各イベントが催されてきたが、今回は販路拡大に特に前向きな生産者が集まり、首都圏のバイヤーらと商談。東京五輪への食材供給を目指す出展者もみられ、「世界の人たちに福島産を食べてもらうことが一番のPRになる」との声が聞かれた。

出展した30団体のうち、JGAP認証取得済みが5団体、グローバルGAPが同2団体、FGAP(福島県認証GAP〈放射性物質対策を強化〉)が同1団体、有機JASが同3団体。

本紙関係では鶏肉と卵の生産者らでつくる会津養鶏協会が参加し、㈱会津地鶏ネットや㈲サカイフーズを経営する酒井毅社長と、㈲会津地鶏みしまやの小平和広社長が各商品について説明。

酒井社長は、グループの成鶏農場(㈲酒井養鶏場)が農場HACCPとJGAPの認証取得に向けて動いており、最終的には会津地鶏でも両認証の取得を目指すとの方針を来場者に伝えていた。

付加価値を特に高めた卵では、酒井養鶏場が純国産鶏もみじ(約1万5000羽)を平飼い鶏舎で飼養し、サカイフーズを通じてヨークベニマル全店に供給する『平飼いたまご』を展示。伸び伸びと動ける環境で魚粉を通常卵の約3倍、パプリカを同5倍与えていることや、6個入りパックの価格は約300円であることを紹介した。

風評被害の払しょくについては「あれから7年が経ち、ふくしまの卵と鶏肉は安全・安心です、と言い続けるのも〝疲れた〟。毎年3月11日になると、テレビには原発がドカーン!と爆発する映像が流れて…。見た人にはあの印象が残ってしまうし、私も、本当に悔しい思いでいっぱいになる。ただ、ふくしまの食材が安全なのは当たり前なのだから、東京オリンピックで食材を使ってもらうことを1つの目標とし、それで会社全体のモチベーションを上げている。この目標を達成すれば『世界中の人が食べてくれた』『おいしいと言ってくれた』と胸を張って言える」(酒井社長)と前向きに話してくれた。

会津地鶏みしまやの小平社長は、来場者に会津地鶏の肉質の良さをアピール。もも肉の売価(チルド・送料別)は1キロ4000円前後、同むね肉は3500円前後と伝え、同地鶏を使った加工品では鶏もつ煮、カレー、ラーメン、スープなどを紹介した。

㈱川俣町農業振興公社は川俣シャモをPR。プロの料理人が県産食材を使い腕を振るった『試食コーナー』も盛況で、バイヤーらは供された川俣シャモのハーブグリル、会津地鶏のスープ、天のつぶ(ブランド米)の卵チャーハンなどを食べて素材の味や食感、相性の良い調理法などを確認した。

また、若い世代に向けて県産食材のイメージアップを図っていることも知ってもらおうと、会津地鶏や川俣シャモ、福島牛、天のつぶ、桃、ヒラメなどの県産食材を擬人化したアニメ『食べちゃったっていいのにな!』(㈱福島ガイナックス制作、動画再生回数530万回以上)を紹介するコーナーも設けられた。

イベント運営に携わった県農林水産部環境保全農業課の古川勝弘主幹(農産物安全担当)は「風評被害の払しょくは本当に大変で、私自身も生産者のことを思い、悔しくて涙したことが何度もある。福島の人はもともと自己主張が得意ではないが、ただおとなしくしているのではなく、もっと動いて、福島のおいしさを知ってもらうためのイベントとした。同じ食材ならば福島県産のほうがおいしい、という自信はある」と話していた。