福岡、兵庫、宮崎でも鳥インフル

発生被害は4県・11例、約162万羽に

香川県で11月5日に発生した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は、11月21日までの約2週間で8か所にまで拡大した。香川県は、県内88戸・約200農場に書面で飼養衛生管理基準の順守状況を調査するほか、12月中旬までに県内すべての養鶏場に消毒用の消石灰を配布することにしている。25日には福岡県宗像市の肉用鶏農場(約9.4万羽)、兵庫県淡路市の採卵鶏農場(約14.6万羽)でもH5N8亜型のHPAIが発生した。また、30日には宮崎県日向市の肉用鶏農場(約4万羽)で疑い例が発生し、12月1日にH5亜型が確認された。

11月15日までに5例のH5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生が確認され、感染の拡大が危惧されていた(本紙11月25日号既報)が、20日には三豊市の1例目の半径3kmの移動制限区域で6例目と7例目、翌21日には8例目が確認された。

6例目の採卵鶏農場(約14.7万羽)は、三豊市の1例目と3~5例目の発生に伴い実施された遺伝子検査と抗体検査では陰性が確認されていたが、19日に死亡鶏が増加したとの通報を受けて県が立ち入り、簡易検査で13羽中11羽(死亡鶏11羽中10羽、生存鶏2羽中1羽)の陽性を確認。東部家畜保健衛生所で実施した遺伝子検査の結果を20日に農水省に送付し、H5亜型のHPAIが確認された。同地域の関連グループ4農場(採卵鶏が約1.9万羽と約11.6万羽の2農場、肉用鶏が約5.7万羽と約1.6万羽の2農場)が疫学関連農場に認定され、合計約35.5万羽が殺処分の対象となった。

7例目の採卵鶏農場(約49.5万羽)も、6例目と同様に実施された遺伝子検査と抗体検査では陰性が確認されていたが、19日に死亡鶏が増加したとの通報を受けて県が立ち入り、簡易検査で13羽中2羽(死亡鶏11羽中1羽、生存鶏2羽中1羽)の陽性を確認。東部家畜保健衛生所で実施した遺伝子検査の結果を20日に農水省に送付し、H5亜型のHPAIを確認。

8例目の採卵鶏農場(約7.7万羽)も、6~7例目と同様に実施された遺伝子検査と抗体検査では陰性が確認されていたが、20日に死亡鶏が増加したとの通報を受けて県が立ち入り、簡易検査で11羽中6羽(死亡鶏9羽中5羽、生存鶏2羽中1羽)の陽性を確認。東部家畜保健衛生所で実施した遺伝子検査の結果を21日に農水省に送付し、H5亜型のHPAIが確認された。県は自衛隊に災害派遣を要請するなど封じ込めの作業を実施。11月30日現在で1~5例目の防疫措置、6~8例目の殺処分を完了した。

また、今回の発生に伴い、遺伝子検査などがすべて陰性であれば卵の移動ができたが、種卵、ひな、ブロイラーや成鶏の移動は制限されている。これについて11月20日に開いた家きん疾病小委員会では「種卵、初生ひなの搬出制限区域(3~10km圏内)内から搬出制限区域外への移動は、既発生農場と疫学的関連がない農場であることを、発生農場・協議対象農場の双方から確認したうえで、搬出制限区域の農場に限って『制限の対象外』とすることは差し支えない」とした。

25日には、福岡県宗像市の肉用鶏農場(約9.4万羽)で今シーズン9例目となるHPAIの発生が確認された。24日に当該農場から死亡鶏が増加したとの通報を受けて中央家畜保健衛生所が立ち入り、簡易検査で陽性反応(10羽中9羽)が出たため、同家保で遺伝子検査を実施した結果、25日にH5亜型の疑似患畜が確認された。

福岡県での発生は初めて。県では飼養鶏の殺処分を開始するとともに、半径3kmの移動制限区域(1戸、約1.7万羽)、半径3~10kmの搬出制限区域(6戸、約12.4万羽)を設定し、移動制限区域内の農場について、速やかに発生状況確認調査を実施。28日には防疫措置を完了した。

10例目の兵庫県淡路市の採卵鶏農場(約14.6万羽)では、25日午前10時25分に当該農場から死亡鶏が増加したとの通報を受けて淡路家畜保健衛生所が立ち入り、簡易検査で陽性反応が出たため、同家保と姫路家畜保健衛生所の2か所で遺伝子検査を実施した結果、H5亜型の疑似患畜が確認され、午後10時30分に兵庫県と農水省が同時発表した。

兵庫県では、2004年2月に八千代町(現多可町)の食鳥処理場に感染した鶏が持ち込まれたことはあるが、農場での発生は初めて。県では26日から殺処分を開始し、28日に完了。半径3kmの移動制限区域に養鶏場はなく、3~10kmの搬出制限区域の7戸、約1万羽の家きんの移動や鶏卵・鶏肉の出荷は、27日から可能となった。

宮崎県日向市の肉用鶏農場では11月30日に死亡鶏が増加したことを延岡家畜保健衛生所に通報。簡易検査で陽性、遺伝子検査で12月1日にH5亜型の疑似患畜を確認した。半径3kmの移動制限区域に養鶏場はなく、3~10kmの搬出制限区域には16農場、約55.3万羽が飼養されている。